読書の記録_国内作家た行

奈落で踊れ

月村了衛/著 朝日新聞出版 1998年に旧大蔵省で起こったノーパンすき焼き(実際はしゃぶしゃぶ)事件をモチーフとし大スキャンダルの裏で、暗躍する人々のピカレクスもの。主人公の官僚である「大蔵省一の変人」香良洲をはじめただものでない登場人物が続々出…

私はフーイー

恒川光太郎/著 メディアファクトリー 副題「沖縄怪談短篇集」のとおり沖縄が舞台のホラー短編集。表紙がすごく怖い。著者らしい抒情的なのに不気味な異世界へ誘われる内容の作品集だった。

二度寝とは、遠くにありて想うもの

津村記久子/著 講談社 エッセイ本題二弾。随分前に出版されていたのに気づかず。肩が抜けたゆるい気分で気楽に読めるのが良い。

月村了衛/著 光文社 野外活動部に所属する中学生と引率する先生たちが合宿先にて殺人も厭わない半グレ集団と戦うことになる。副顧問の先生が身分を偽って潜伏していたテロリストと判明するあたりから形成が一気に変わる。上記設定がB級エンタメぽいが、ダラ…

悪の五輪

月村了衛/著 講談社 1964年開催の東京オリンピックの映画の監督に錦田欣明という三流監督にしようと映画好きのヤクザ人見が魑魅魍魎とした政界・芸能界で悪戦苦闘する。錦田は架空の人物ではあるが、政治家や芸能人は実在の人物を取り混ぜている。歴史的に実…

暗鬼夜行

月村了衛/著 毎日新聞出版 いや怖かった、現実ぽい内容で。読書感想文盗作疑惑事件を発端に、LINEを始めとした噂操作、学校統廃合の騒動など続々と問題が発生し主人公が社会的に抹殺されるに近いラストへ向かう。

機龍警察 火宅

月村了衛/著 早川書房 <収録作品>『火宅』『焼相』『輪廻』『済度』『雪娘』『沙弥』『勤行』『化生』 機龍警察シリーズのサイドストーリー的短編集。こうしてみると話を作りやすい登場人物とそうでない登場人物に分かれている。姿や沖津みたいなのは短編…

機龍警察 白骨街道

月村了衛/著 早川書房 機龍警察シリーズ6作目。 世界の紛争ものなど毎回ストーリーに関わっているが、 本作では実際の紛争地ミャンマーへ機龍兵搭乗員3人へ出向く。 白骨街道という言葉も納得する凄まじい内容。 ミャンマーだけではなく国内も連動して話が進…

化物園

恒川光太郎/著 中央公論新社 動物が絡む短編集のようだが、全体を読むと 「ケシヨウ」と呼ばれる化け物が全て絡んでいる。 最初は日常の中で起こる怪異といった話だったのが 話数を重ねるごとにファンタジー要素が大きくなって 幻想的な読後感を得る。

おもちゃ 河井案里との対話

常井健一/著 文藝春秋 河井案里を知ったのは参院選買収事件が起きてネットでも炎上していたが、当時あまり関心は持っていなかった。だから、彼女のプロフィール自体など本作で初めて知った。本作は特に買収事件発覚・逮捕などを予測せず参院選当選前から話題…

現代生活独習ノート

津村記久子/著 講談社 <収録作品> 『レコーダー定置網漁』『台所の停戦』『現代生活手帖』 『牢名主』『粗食インスタグラム』『フェリシティの面接』 『メダカと猫と密室』『イン・ザ・シティ』 不穏な話も結構あるが、しょぼくて冴えない日常を テーマが…

まほり

高田大介/著 KADOKAWA とある都市伝説に導かれて 出身地近くの蛇の目紋の調査をする 民俗学ミステリ。 ホラー風な話へもっていくかという不穏さが途中あったが、 ミステリとして話は完結。 でもタイトルの意味が最後の方で判明してそちらの方が怖い。

ダッハウの仕立て師

メアリー・チェンバレン/著 川副智子/訳 早川書房 女性向けドレスメーカー(仕立て屋)という 特殊技術を持ちながら、虚栄心や男運の悪さで どんどん転落していく女性の人生。 何かしら救いの展開がありそうなので 全くなく終わってしまい呆然となった。

つまらない住宅地のすべての家

津村記久子/著 双葉社 たぶん地方都市の街の一角にある住宅地。 そこの10世帯の人々が 刑務所脱走事件をきっかけに変わっていく物語。 登場人物の大半は津村作品らしい人たちなので 結末もなんとなく安心して読めるが、 事件の原因の大元となる人物が真っ黒な…

真夜中のたずねびと

恒川光太郎/著 新潮社 5つの短編集。 登場人物に試練が多い話や 殺人事件に関わって人生が翻弄される人など多め。 津村記久子もそうだけど、 恒川光太郎作品の主人公的人物たちって 逆境でも淡々としている。 話を読みすすめると、他作品に出てくる人が ちょ…

サキの忘れ物

津村記久子/著 新潮社 9つの短編が収録。 表題のサキとは何者かと思ったが 小説家のサキのことだった。 淡々としていて派手ではないが 救いがある結末が多かった。

日々翻訳ざんげ

田口俊樹/著 本の雑誌社 翻訳苦労譚。 翻訳した作品すごく多い印象なのに このミス1位受賞が『神は銃弾』までなかったというのが意外。

涼宮ハルヒの直観

谷川流著 角川スニーカー文庫 9年ぶりの新作。 3作品収録されているが、本筋の物語というよりは サイドストーリー的な内容だった。 さて続きは出るのだろうか?

我らが少女A

髙村薫/著 毎日新聞出版 合田シリーズ作品。 久しぶりに読む合田は定年退職も近づき 過去作品よりも丸くなっているが、 スマホでLINEしたりゲームでガチャしたりしている 合田が読めるとは驚いた。 でも相変わらずズック言っているのが微笑ましい。 池袋で起…

つけびの村  噂が5人を殺したのか?

高橋ユキ/著 晶文社 山口連続殺人放火事件のルポ本。 というか、事件からもう7年もたっていたとは。 取材はよくされている内容だったが、 前半部分をノンフィクションの賞に応募していて落選したそうだが それはそうだよな、と思った。 後半部分が加えられて…

蘆屋家の崩壊

津原泰水/著 集英社 <収録作品> 『反曲随道』『蘆屋家の崩壊』『猫背の女』 『カルキノス』『ケルベロス』『埋葬虫』 『水牛群』 幻想的なホラー連作短編集。 表題作はベタなタイトルなのに東洋と西洋が混じっていて かつタイトルから連想させられるオチな…

風の鍵

鳥井架南子/著 講談社文庫 ジャズバンドメンバーの複雑な関係で 各メンバーが一人の女性が加入したことで 翻弄されていくが……。 ドロドロしているのにサクサク読める。

夫・車谷長吉

高橋順子/著 文藝春秋 妻からみた夫についてのエッセイというより 車谷長吉の人生後半についての 波乱万丈な伝記としても読み応えあった。

図書館の魔女 烏の伝言

高田大介/著 講談社 図書館の魔女二作目。 山の道案内の剛力衆や 街の地下道に生きるネズミと呼ばれる子どもたちなどの 生き方などがユニーク。 魔女一行は今回後半からであまり出ないのは寂しいが。

図書館の魔女 (上)(下)

高田大介/著 講談社 どちらかというとYA小説向けか。 運命に縛られていた少年少女が冒険を通じて 少しずつ呪縛が解けていく。 タイトルで魔女とついているし異世界が舞台だけど、 魔女自身が魔法を否定し、推理をして現実的な解決を求める ところがユニーク。

白昼夢の森の少女

恒川光太郎/著 KADOKAWA <収録作品> 『古入道きたりて』『焼け野原コンティニュー』『白昼夢の森の少女』 『銀の船』『海辺の別荘で』『オレンジボール』 『傀儡の路地』『平成最後のおとしあな』 『布団窟』『夕闇地蔵』 長編もいいけど、やっぱり恒川光…

東京輪舞

月村了衛/著 小学館 昭和から平成で起きた事件の裏側で 操作に関わった公安刑事の半生物語。 主人公が負け続けているが誇りを失わず 職務を全うしようと奮闘。

幽霊人命救助隊

高野和明/著 文春文庫 自殺した4人の男女が期限が決められた中で 100人の自殺を防ぐため奮闘する。 自殺問題という結構重いテーマを コミカルな設定等で和らげて読みやすい。

黒涙

月村了衛/著 朝日新聞出版 『黒警』の続編だが、結構あっけない結末。 話の残虐さな展開が月村了衛というより 誉田哲也作品みたいだった。

顔なし子

高田侑/著 幻冬舎 ホラーテイストな話かと思いきや、 殺人事件が起こってからは家族物語へ。 ラストは冒頭からは想像できないほど 爽やかだった。