読書の記録_国内作家ま行

バッタを倒しにアフリカへ

前野ウルド浩太郎/著 光文社新書 表紙や少し自虐ネタや現地の人々の交流などユーモアある文章。『ファーブル昆虫記』に憧れて昆虫学者を目指した著者がサバクトビバッタの生態についてモーリタニアまで現地調査する話なので結構真面目な内容。

七人怪談

三津田信三/編 KADOKAWA <収録作品>『サヤさん』澤村伊智『貝田川』加門七海『燃頭のいた町』名梁和泉『旅の武士』菊地秀行『魔々』霜島ケイ『会社奇譚』福澤徹三『何も無い家』三津田信三 三津田信三が読みたいジャンルを指定したホラー短編集。元編集者…

風配図 WIND ROSE

皆川博子/著 河出書房新社 皆川先生、93歳の著作物。内容がみずみずしいのがもう単純にすごい。12世紀のバルト海になるゴッドランド島に住むヘルガ、アグネといった少女たちが周囲の古い因習や差別などを物ともせず読み書きを覚えたりし商人や通訳を目指す。…

川の光

松浦寿輝/著 中央公論新社 住んでいた川が埋め立てられることになったため新天地を求め冒険の旅へと出るクマネズミ親子の物語。ネズミの冒険ものというとガンバを連想してしまう。街の一部の移動とはいえ、人や犬だと大したことない距離でもネズミだとすごい…

おばちゃんたちのいるところ

松田青子/著 中央公論新社 短編集だが、全体を読むと世界が繋がっている構成。幽霊と人間が絡むが少しも怖くない。1作目は少しジェンダー関係の重苦しさがあるが他はそうでもなく全体に軽妙な感じ。

ユーチューバー

村上龍/著 幻冬舎 コロナ禍にてほぼ客がいないホテルという一種異様な空間の描写は面白い。有名小説家が女性遍歴を語るが著者自身のぽいので自伝風な内容になっている。でもなんだか全体的に物足りない感じ。

持続可能な魂の利用

松田青子/著 中央公論新社 ディストピア? フェミニズム小説。悪意ある「おじさん」たちを打倒しようとする女性たち。結局日本だけではなく、世界中も変革したのだろうか。読んでいてつらいけど、変革したラストで爽快になるかというとそうでもなくて複雑な…

みみそぎ

三津田信三/著 KADOKAWA 五感シリーズ? 2作目。聴覚に関する怪異。三間坂萬造のノートに記される怪談が怪異を呼ぶ。作中作というか入れ子構造というか語り手がどんどん変わっていく怪談がループとなって三津田信三の既刊作品とも関わっていくとなんともわか…

一人称単数

村上春樹/著 文藝春秋 <収録作品>『石のまくらに』『クリーム』『チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ』『ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles』『ヤクルト・スワローズ詩集』『謝肉祭(Carnaval)』『品川猿の告白』『一人称単数』 『ヤクル…

碆霊の如き祀るもの

三津田信三/著 原書房 刀城言耶シリーズ。4つの怪談がある山と海にて隔離された村で起こった連続殺人事件。殺人事件は解決したかのように見えたのだがラストでぞっとしたホラー結末になるとは。

夜のアポロン

皆川博子/著 早川書房 いままで未収録だった短編、中編をまとめたもの。一気読みするには濃密すぎるが幻想的なミステリものが多めなので楽しい。とはいえ時代的背景が見える作品だと古さを感じてしまうものもあった。

幽女の如き怨むもの

三津田信三/著 原書房 刀城言耶シリーズもの。遊郭の物語で、花魁と呼んでいるためかいつの時代がよくわからな感じてしまう。一人が身投げすると連続して続くという事件が起きる上心霊現象めいたことも発生。ホラー調であるが、謎解きもしっかりあり。

赫衣の闇

三津田信三/著 文藝春秋 物理波矢多(もとろいはやた)シリーズ3作目。本作は赫色。時系列的には1作目と2作目の間で東京近辺が舞台。迷路じみた闇市で暗躍する怪人の謎について依頼される。当時の闇市や関連する食糧事情などの風俗描写がしっかり書かれてい…

犯罪乱歩幻想

三津田信三/著 KADOKAWA <収録作品>『屋根裏の同居者』『赤過ぎる部屋』『G坂の殺人事件』『夢遊病者の手』『魔鏡と旅する男』『骸骨坊主の話』『影が来る』 乱歩作品をモチーフにした短編集。タイトルだけ見るとパロディなのかと思わせるが作品は著者ら…

魔邸

三津田信三/著 KADOKAWA とある田舎の別荘で起こる怪異。怪異を2回経験している少年が主人公。森で起こる神隠しの怪異ももあるが、一応「家」ホラーでいいのか?

夜のリフレーン

皆川博子/著 KADOKAWA 過去単行本で未収録だった24編の短編集。装丁が収録された幻想的なストーリーに合っている。

のぞきめ

三津田信三/著 角川書店 異なる時代・同じ場所で起こった二つの怪異についての手記。前半の手記の怪異は純粋に怖すぎる。純粋な怪異もの。後半の手記は前半の手記より時代は遡り全く独立した話だが前半の怪異が起こる原因らしきものが伺える。最後に著者自身…

忌名の如き贄るもの

三津田信三/著 講談社 刀城言耶シリーズ第11作目。忌名儀礼に関する殺人事件民俗学部分がミステリに落とし込めている。冒頭の儀式の話でふと思ったいやな想像が伏線となってホラーオチに繋がるとは。

ヨハネスブルグの天使たち

宮内悠介/著 早川書房 近未来、「歌姫」と呼ばれる日本製のDX9という 美少女ロボットを軸にして世界各国を舞台にした連作短編集。 著者がニューヨーク育ちだったためか 9・11事件に大きな影響を受けているようだ。

コンビニ人間

村田沙耶香/著 文藝春秋 第155回芥川賞受賞作。 タイトルなんだと思ったが、本当にコンビニ人間だった。 主人公の生きづらさが最初コミカルだったのが 途中苦しくなってラストは少し救いあるかも。 主人公、阿部共実の短編マンガに出てきそう。

逢魔宿り

三津田信三/著 KADOKAWA 5編の実話風ホラー小説。 理由もわからぬルールがとても不気味。 実話をもとにした、ということで事実が 全て明らかにならない不気味さがよい。

おはしさま

三津田信三、薛西斯、夜透紫、瀟湘神、陳浩基/著 玉田誠/訳 光文社 日本・台湾・香港の作家たちのホラーミステリ・リレー小説。 結構良い企画本。 冒頭の三津田信三作品が正統的ホラーで始まり その後続々とミステリやSFや台湾の独特な風習などの要素が入る。…

CAボーイ

宮木あや子/著 KADOKAWA 「校閲ガール」シリーズと世界が少し関連ある ワーキングもの。 スペック高いイケメンでも裏には苦労がある シリアスさもあり。

帝国という名の記憶 (上)(下)

アーカディ・マーティーン/著 内田昌之/訳 ハヤカワ文庫 SF 架空の宇宙帝国の文化の設定などが 大変凝っている。 主人公であるルスエル国大使のマヒートが結構行動的で 話もテンポよく進む。

インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

皆川博子 早川書房 『開かせていただき光栄です』シリーズ完結作。 エドとクラレンスがアメリカへ。 ずいぶん遠くへ来たものだ。 本作は、アシュリーの手記が中心。 アメリカ独立戦争を背景にした歴史ミステリで イギリスが舞台だった過去2作と大分異なり興…

天国旅行

三浦しをん著 新潮社 7作品収録。 すべて「心中」がテーマだと最後に書かれていた。 テーマにストレートな内容もある一方、 話自体はあまりそれを感じさせない話がある。 「心中」は広義的な感じ?

希望の国のエクソダス

村上龍/著 文藝春秋 00年代を舞台にした 近未来小説(執筆当時2000年)。 中学生が集団登校拒否を起こし、 ネットビジネスを確立しその後北海道で独立すると あらすじだけだと陳腐ぽいが 日本の経済などの絶望的背景を同時に書くことで 物語をきちんと成立さ…

VTJ前夜の中井祐樹 七帝柔道記外伝

増田俊也/著 角川文庫 『七帝柔道記』の外伝と書かれているとおり 北大柔道部や柔道関係の人たちのエピソードなど。 沢田のモデルの人が『七帝柔道記』をきっかけに 作者と再会し対談していたのが嬉しくなる。

どこにでもある場所とどこにもいない私

村上龍/著 文藝春秋 それぞれ独立した短編集だが 何気ない日常から抜け出そうとする語り手たちの物語。 全員、周囲の人間観察が細かいのが特徴的。

七帝柔道記

増田俊也/著 角川文庫 著者の自伝的小説。 過酷すぎる練習の部分が辛すぎるが 練習以外では優しすぎる先輩や同期の仲間などの ギャップが熱い。