読書の記録_国外作家か行

レクイエムの夜

レベッカ・キャントレル/著 宇佐川晶子/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 続編も訳して欲しい時代ミステリ。ナチスが台頭しつつある中のベルリンが舞台。男性名で記事を書くハンナが弟の死の謎を追っていく。謎解き部分は都合よい感じではあるが時代背景が興味深い…

哀惜

アン・クリーヴス/著 高山真由美/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 特異なキリスト系宗派で育った刑事が主人公の警察小説。アルコール依存症の男性殺害事件が起こるが、そこからダウン症女性の誘拐などの事件も発生したりと一見慌ただしさがあるが意外にも物語自体…

ビッグ・ドライバー

スティーヴン・キング/著 高橋恭美子、風間賢二 文春文庫 <収録作品>『ビッグ・ドライバー』『素晴らしき結婚生活』 中編2編収録。どちらの作品も共通するのは、女性が主人公で人生で究極の選択をしなければならなくなるということ。不快で後味悪めな内容…

帝国の亡霊、そして殺人

ヴァシーム・カーン/著 田村義進/訳 早川書房 地道に増えてきているインドミステリ。インド初の女性刑事が独立直前の1949年12月31日に起こったイギリス人殺人事件を追う。主人公のペルシスが周囲の男性社会の差別や軋轢を受けながらという境遇にあって大変な…

任務の終わり 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 三部作完結編。3作目でミステリというよりもキングらしいホラーサスペンスものに。2作目のラストの嫌な予感が当たってしまった。ゲーム機を使って人を操って自殺させようとするメルセデスキラーことブレイディ。…

ファインダーズ・キーパーズ 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 『ミスター・メルセデス』の続編で三部作二作目。キングが挑むミステリものであるが、次作が超現象でそうなラストではある。下巻になるまでシリーズ主人公であるホッジスは登場せず事件の発端とそれに関わる人物…

アウトサイダー 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 不可能犯罪事件の謎がホラーへと展開。忌まわしいの存在のアウトサイダーがキング作品のクリーチャーらしい。上巻の鉄壁のアリバイがあるのに殺人者とされてしまったされた男性がいたたまれないが、下巻で『ミス…

The 500

マシュー・クワーク/著 田村義進/訳 早川書房 ロビイストという職業がどういったものか主人公が就職してからのストーリーでわかってくる。そこからサスペンスものになって怒涛の展開へ。

パリの骨

ローリー・R・キング/著 山田久美子/訳 創元推理文庫 1929年パリを舞台にした歴史ミステリ。第一次世界大戦によっていまだ心身傷ついた主人公およびその周囲の人たちが印象的。女性失踪事件の結末はショッキングだが、そこを当時のシュルレアリスムと絡ませ…

ブルックリンの死

アリッサ・コール/著 唐木田みゆき/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 ニューヨークはブルックリン地区にて起こるサスペンス。黒人が主な住宅地が徐々に白人が引っ越し増えていく。突然いなくなった人々はどこへ?主人公の黒人女性視点で進む部分が妄想気味な描写な…

大鎌殺人と収穫の秋

フォルカー・クルプフル、ミハイル・コブル/著 岡本朋子/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 クルフティンガー警部シリーズ2作目。南ドイツの田舎が舞台のユーモア警察もの?とユーモア部分は警部のキャラクターであって事件は不気味な連続見立て殺人事件が扱われて…

二度死んだ少女

ウィリアム・K・クルーガー/著 野口百合子/訳 講談社文庫 元保安官コークのシリーズもの。とはいえ他は未読だが特に問題なく読める。過去、主人公コークの家庭が崩壊寸前だったようだが、本作では非常に良好だった。対して作中で起こる事件の過程や結末はハ…

統合失調症の一族

ロバート・コルカー/著 柴田裕之/訳 早川書房 ノンフィクション。12人の子どもかつ下の2人以外は男というのもびっくりだが、うち兄弟6人が次々と統合失調症を発症してしまう。しかし病気だけではなく暴力半端ない兄弟喧嘩や、妹たちへの性的虐待など問題が多…

このやさしき大地

ウィリアム・ケント・クルーガー/著 宇佐川晶子/訳 早川書房 1932年大恐慌に見舞われたアメリカ。日常的に虐待など起こる救護院から脱出しカヌーで旅する少年少女の成長物語かつロードノベル。プロローグで少なくとも主人公は生き延びられることはわかってい…

偽りの銃弾

ハーランコーベン/著 田口俊樹、大谷瑠璃子/訳 小学館文庫 殺害されたはずの夫が監視カメラに映っている? という謎から姉の事件も繋がっているのではと 元特殊部隊パイロットの女性が調査を始める。 強い女性が主役でラストまで一気に読ませる。

薪の結婚

ジョナサン・キャロル/著 市田泉/訳 創元推理文庫 前半はロマンス小説風な話で先が読めず。 ところが、とある登場人物が死亡したあたりから ジョナサン・キャロル流の悪夢世界の描写がすごくなる。 無意識でも他人を犠牲にする者=ヴァンパイアの定義などが…

ステイ・クロース

ハーラン・コーベン/著 田口俊樹/訳 ヴィレッジブックス アトランティックシティでの男性失踪がきっかけで 過去に同様の事件が何度も起きていることが判明。 ストリッパーの過去を持つ主婦が事件の鍵を持っているためか あらゆる方向から狙われるサスペンス。…

天使の牙から

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 生と死がテーマ。 訪れる死がどうやってくるか、不意打ち的な方法で 死神がやってくるのに慄く。 逃げ道がなく追い詰められていく感覚があるが ラストにわずかな希望な光がある。

唇を閉ざせ〈上〉〈下〉

ハーラン・コーベン/著 佐藤耕士/訳 講談社文庫 死んだはずの妻からEメールが届いたことをきっかけに FBIや謎の組織に追われる主人公。 スピーディーで勢いある流れなので気にせず読めるが、 展開に無理があるところが所々。 ※ネタバレ含む 主人公が事件に巻…

蜂の巣にキス

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 人気作家が少年時代に遭遇した 未解決殺人事件を追う話。 作家のファンの女性のヤバさがどんどん明らかになったり 周囲の人々が殺されたりする。 キャロルの過去作品から、どんなバッドエンドになるかと …

森から来た少年

ハーラン・コーベン/著 田口俊樹/訳 小学館文庫 他作品でも名脇役で光る 有能おばあちゃん弁護士のヘスターがメインで登場。 彼女と主役を張るのは、幼少時森で一人生活していた ワイルドという男性。物語はテンポ良く進む。 評判よければシリーズ化しそうな…

沈黙のあと

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 愛する女性と息子の正体を知りつつ 再婚する主人公。 幸せな家庭をつくるが、 息子が成長し自分の正体を知った時点から ラストまでじわじわ恐怖が募っていく。 主人公が利己的なためか、 息子がすごく可哀…

犬博物館の外で

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 ジョナサン・キャロルの作品世界は ほとんど同じ世界なのを認識させられる作品。 別作品では脇役だった、 天才建築家のハリー・ラドクリフが主人公。 性格悪いといいつつもおそらく人間的魅力あるためか …

我らが影の声

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 主人公がウィーンで知り合った ポールとインディア夫妻。 ポールが死亡した後にホラー展開があるが それだけで終わらないというか、 ラストが唐突すぎでびっくりする。

炎の眠り

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 キャロルの作品は古いためか入手困難。 本作は三部作の二作目らしいので 前後がどういう話かは気になる。 一応本作のみでもひとつの結論が出て完結はしているが。 本作はグリム童話と輪廻転生が混じったダ…

ランナウェイ

ハーラン・コーベン/著 田口俊樹、大谷瑠璃子/訳 小学館文庫 サスペンスもの。 長女が麻薬中毒にさせた彼氏が惨殺され 彼女が行方不明に。 必死に捜索をする父親の姿を描く。 途中カルト宗教が絡んでいくがその経緯や結末がややこしい。

ナイトメア・アリー

ウィリアム・リンゼイ・グレシャム/著 柳下毅一郎/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1920から30年代と思われるアメリカでの 幻想的で奇妙な物語。 各章がタロットカードに基づく。 野心あふれるマジシャンであるスタン・カーライルが 読唇術を取得し、それをもとに…

死者の書

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 創元推理文庫 作家マーシャル・フランスに魅入られた 主人公トーマスと恋人のサクソニーが フランスの伝記を書くために彼が住んでいた ゲイレンという田舎町へ出発する。 そこまでの過程は割と二人の行動が微笑ましいの…

歩道橋の魔術師

呉明益/著 天野健太郎/訳 白水社 1980年前後数年の台北。 実際にあった商業施設「中華商場」にいた人々と そこで商売をしていた魔術師と呼ばれた男との エピソードが語られる連作短編集。 「中華商場」1992年に解体したそう。 いずれも不思議な物語ばかりだが…

ぼくは漫画大王

胡傑/著 稲村文吾訳 文藝春秋 第3回島田荘司推理小説賞受賞作。 1970から80年代前半の台湾の漫画の状況が ほぼ海賊版の日本漫画ばかりというところが面白い。 少年漫画メインというか永井豪周辺のロボット漫画が 中心で登場人物が中華風な名前になっている。…