蟹の横歩き

蟹の横歩き ―ヴィルヘルム・グストロフ号事件

ギュンター・グラス/著 池内紀/訳 集英社

世界でも類をみない悲惨だった船難事件なのに最近までタブーだったらしい

ヴィルヘルム・グストロフ号事件を題材にした小説。

事件当時と現在の出来事が蟹の横歩きのように

行ったり来たりとして全容をつかむのがわかりづらいが、

後半の裁判のところは唸らさせる。

しかし、グラスというと古典になってる『ブリキの太鼓』が有名だが、

本作ではネット世界が重要なキーとなっているのに

グラスって結構今時の文化も取り入れるんだな、と時代の流れを感じるのであった。