2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

クララとお日さま

カズオ・イシグロ/著 土屋政雄/訳 早川書房 AI頭脳を持つ人工フレンドのクララの視点での病弱な少女ジョジーとの出会いと別れの物語。ジョジーは向上処置の副作用で病弱みたいだが、処置を受けない子どもは大学進学が困難などなにかと格差がある世界となって…

チェスナットマン

セーアン・スヴァイストロプ/著 高橋恭美子/訳 ハーパーBOOKS デンマーク・ミステリ。ノワールものらしいがサイコものでもある。分厚いけどテンポ良く話が進んでいく。犯人の正体が本人からバラされるまで全く予想できなかったくらい意外。

母になる、石の礫で

倉田タカシ/著 早川書房 3Dプリンタでなんでも生み出せる数百年後の未来。地球外で生活する3Dプリンタで生まれた少年少女の物語。作中の「母」という概念が少し読んでいてこんがらがる。背景世界なども複雑だが、少年少女たちの一種の青春物語というか成長も…

トランク 林芙美子大陸小説集

林芙美子/著 中公文庫 <収録作品>『泉』『運命』『黄鶴』『雨』『幕切れ』『トランク』『漣波』 旅好きな著者らしいテーマの短編集。様々な立場の人物たちが登場するが、本来一生海外へ行く機会がなさそうな少女が奥様付きの小間使いとしてパリで生活する…

帝国の亡霊、そして殺人

ヴァシーム・カーン/著 田村義進/訳 早川書房 地道に増えてきているインドミステリ。インド初の女性刑事が独立直前の1949年12月31日に起こったイギリス人殺人事件を追う。主人公のペルシスが周囲の男性社会の差別や軋轢を受けながらという境遇にあって大変な…

おばちゃんたちのいるところ

松田青子/著 中央公論新社 短編集だが、全体を読むと世界が繋がっている構成。幽霊と人間が絡むが少しも怖くない。1作目は少しジェンダー関係の重苦しさがあるが他はそうでもなく全体に軽妙な感じ。

われはドラキュラ――ジョニー・アルカード 上・下

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ4作目は連作中短編集。時系列は主に1970年代から1990年代前半まで。1作目でのドラキュラのタイトルにあるセリフが本作の最後の方でも宣言される。絶望的? なのかそうでないのか。20世紀の映画とハリウッ…

ユーチューバー

村上龍/著 幻冬舎 コロナ禍にてほぼ客がいないホテルという一種異様な空間の描写は面白い。有名小説家が女性遍歴を語るが著者自身のぽいので自伝風な内容になっている。でもなんだか全体的に物足りない感じ。

持続可能な魂の利用

松田青子/著 中央公論新社 ディストピア? フェミニズム小説。悪意ある「おじさん」たちを打倒しようとする女性たち。結局日本だけではなく、世界中も変革したのだろうか。読んでいてつらいけど、変革したラストで爽快になるかというとそうでもなくて複雑な…

任務の終わり 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 三部作完結編。3作目でミステリというよりもキングらしいホラーサスペンスものに。2作目のラストの嫌な予感が当たってしまった。ゲーム機を使って人を操って自殺させようとするメルセデスキラーことブレイディ。…

《ドラキュラ紀元一九五九》ドラキュラのチャチャチャ

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ3作目。こちらは初読。舞台はイタリアのローマ。ドラキュラがモルダヴィア公女アーサ・ヴァイダと挙式するということで、ヴァンパイアの長生者たちが集結するが彼らを処刑していく深紅の処刑人が出現。そ…