フォー・ユア・プレジャー

柴田よしき/著 講談社 花咲慎一郎シリーズ2作目。今回は複数の事件を並行して調査することに。そのうち一つは文字通り命懸け。山内練の悪魔的描写が特に際立っていて主人公よりも目立っている。

ガラスの顔

フランシス・ハーディング/著 児玉敦子/訳 東京創元社 本作では今までとは違って完全な異世界が舞台のファンタジー小説。かなり作り込まれた世界観に引き込まれる。限られた<面>という表情しかつくれない人たちに対し表情を自由に変えられ嘘がつけない少女…

悪い男

アーナルデュル・インドリダソン/著 柳沢由実子/訳 東京創元社 エーレンデュルシリーズの番外編。エーレンデュルの部下であるエリンボルクが主人公で普段触れられない彼女の家庭環境などがしっかり書かれている。タイトルは本作の殺人事件の被害者のことなの…

フォー・ディア・ライフ

柴田よしき/著 講談社 花咲慎一郎シリーズ1作目。 新宿・歌舞伎町にある無認可保育園の園長かつ探偵である花咲慎一郎のシリーズ1作目。RIKOシリーズと同じ世界なので脇役で同じ人物が登場する。主人公がお人好しで、赤ちゃんや小さい子どもが出ているためか…

月神の浅き夢

柴田よしき/著 KADOKAWA RIKOシリーズ3作目。連続猟奇殺人事件で、事件の真相がいかにも1990年代ぽさが。事件の鍵がサイト情報だったりするが描写がインターネット黎明期らしさがある。 事件とは別にもう登場しないかと思った麻生があっさり再登場。山内の過…

クリミナル・タウン

サム・マンソン/著 金井真弓/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 現代ではなくて1990年代の話。同級生がバイト中に殺害された後主人公の男子高校生が犯人探しをする話と思いきやなんだかよくわからない方向へと進んで戸惑いを感じた。

四日間家族

川瀬七緒/著 KADOKAWA SNSなどネットで個人情報をさらされて炎上する経緯が怖いし、この著者はゾッとする犯罪者を描くのが上手い。自殺志願者だった四人組が冒頭とラストで全く違う姿になって爽やかに。

嘘の木

フランシス・ハーディング/著 児玉敦子/訳 東京創元社 毎度違う時代を書くところが器用。本作ではダーウィンの『種の起源』が出版された後とのことなのでおそらく19世紀半ば。14歳のフェイスは、有名な博物学者の父が化石を捏造したというスキャンダルを避け…

ナイチンゲール (上) (下)

クリスティン・ハナ/著 加藤洋子/訳 小学館文庫 第二次世界大戦下のフランスを舞台にしナチスに対抗するレジスタンスの姉妹の物語。姉妹が覚悟を決めるまでまでの上巻がイラついて仕方がないが下巻から一気に面白くなる。

聖母の深き淵

柴田よしき/著 KADOKAWA RIKOシリーズ2作目。緑子が母になって1作目よりも穏やかな性格に。事件は彼女に降りかかる災いは1作目同様だしLGBTエピソードも1990年代半ばという時代背景のせいか。別作品の主人公の探偵、麻生が登場するのは本作が初だが作中の時…

RIKO―女神の永遠

柴田よしき/著 角川書店 第15回横溝正史賞受賞作でシリーズ1作目。警察小説だが事件自体も警察組織内も性暴力多くて笑えない。主人公緑子の人生が辛い。事件の結末の着地点が強引な感じ。

クリフトン年代記 第7部

ジェフリー・アーチャー/著 戸田裕之/訳 新潮文庫 シリーズ完結。ハリー・クリフトンの生涯が終わる。ハリーらしい亡くなり方だった。1部からの謎であったハリーの父親は誰かなのかもちゃんと解決されていた。

カッコーの歌

フランシス・ハーディング/著 児玉敦子/訳 東京創元社 第一次世界大戦後のイギリスが舞台。病弱な少女トリスが体験する不思議な七日間の物語。20世紀という近代・現代的な世界の裏で妖精的生き物や魔法、「取り替えっこ」の謎などスリリングで勢いがある。

ベイカー街の女たち

ミシェル・バークビイ/著 駒月雅子訳 角川文庫 タイトルからわかるとおりのシャーロック・ホームズのパスティーシュ小説。ホームズとワトスンを陰で支えているハドソン夫人とメアリー・ワトスンの冒険譚。お約束登場人物勢揃いでサービスたっぷり。

私立探偵・麻生龍太郎

柴田よしき/著 KADOKAWA RICOシリーズを全く読んでないが麻生龍太郎はそこから派生したキャラクターらしい。元刑事で事件に対して天才的勘が働くが人間的には不器用である。収録された話で起こる事件は最初はそうでもないが進むにつれてややこしくなって先が…

クリフトン年代記 第6部

ジェフリー・アーチャー/著 戸田裕之/訳 新潮文庫 時代は1970年代へ。まだ残っている三人の敵の決着が一応ついた?なんだか自滅していった感があるが。ハリーは代理であるがノーベル賞授賞式でスピーチ、エマはサッチャーが首相へとなるきっかける与えると世…

二重拘束のアリア

川瀬七緒/著 小学館 賞金稼ぎスリーサム! の2作目。日本初の刑事事件専門調査会社を立ち上げた三人組に謎の夫婦殺し合った形跡がある殺人事件の再捜査依頼が入る。今作でも、事件の真犯人像が怖すぎ。

クローゼットファイル

川瀬七緒/著 講談社 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介2作目。今回から正式に警察のアドバイバーとなって物語の範囲が広がった。従来どおり未解決事件の解明が中心であるが、桐ヶ谷が防ぎたい児童虐待児への事件にも介入できるようなって警察と連携するメリットが生まれ…

諸星大二郎劇場 第5集 アリスとシェエラザード~仮面舞踏会~

諸星大二郎 小学館 第4集に引き続き、栞と紙魚子、19世紀イギリスバージョンの女傑二人組の短編集。ライバルというか敵キャラが登場。前作から引き続き登場するサブキャラもあり幽霊含めにぎやか。

影を呑んだ少女

フランシス・ハーディング/著 児玉敦子/訳 創元推理文庫 17世紀のイギリスが舞台。カトリック対ピューリタンの内戦中の時代、幽霊を取り憑かせることができる一族の血を引く少女の成長物語。最初は何も持たない少女メイクピースがいろいろな試練を経るごとに…

ねこ町駅前商店街日々便り

柴田よしき/著 祥伝社 無人駅になった私鉄の終点かつ駅前の商店街はシャッター街という状態から不思議な猫がやってきたことで再興の光が見えてくる物語。商店街文化祭の途中でトラブルが起こるとか特になく希望ある終わり方でストレスない結末だった。

ぜんしゅの跫

澤村伊智/著 角川ホラー文庫 <収録作品>『鏡』『わたしの町のレイコさん』『鬼のうみたりければ』『赤い学生服の女子』『ぜんしゅの跫』 比嘉姉妹シリーズ5作目。本作は特に過去作を順序に沿って読んでいないとネタバレになる話が結構多めだった。表題作は…

クリフトン年代記 第5部

ジェフリー・アーチャー/著 戸田裕之/訳 新潮文庫 気がついたら作中が1970年になっていた。宿敵であるレディ・ヴァージニアとエマの裁判が中心として進んだ。一方ハリーは4部から続く旧ソ連とのスパイ合戦が決着ついたか。

アウターQ

澤村伊智/著 祥伝社 DPZのようなWebマガジンアウターQのライター湾沢陸男が取材先で出会う怪異とは。霊的なものだけではなく人間怖い系もありなホラー連作短編集。しかし、最終話での謎解き解決編は書き下ろしだが本作連載時から想定していたものだったのだ…

ファミリーランド

澤村伊智/著 早川書房 <収録作品>『コンピューターお義母さん』『翼の折れた金魚』『マリッジ・サバイバー』『サヨナキが飛んだ日』『今夜宇宙船の見える丘に』『愛を語るより左記のとおり執り行う』 ホラーではなく、近未来SFもの。こういうのも書けると…

ビッグ・ドライバー

スティーヴン・キング/著 高橋恭美子、風間賢二 文春文庫 <収録作品>『ビッグ・ドライバー』『素晴らしき結婚生活』 中編2編収録。どちらの作品も共通するのは、女性が主人公で人生で究極の選択をしなければならなくなるということ。不快で後味悪めな内容…

ハクメイとミコチ 第12巻

樫木祐人 KADOKAWA 物語の正解設定が確固しているのでもはや著者のライフワークで一生描けそう。そんな中、ハクメイのキュート系コスプレ回とちょっと異質だけど読者がみたい話がここにして出てくる。

うるはしみにくし あなたのともだち

澤村伊智/著 双葉社 「ユアフレンド」という都市伝説というか学校怪談もの。自分の容姿が気になる年頃の女子高生たちが醜い姿に変えられるというおまじないの被害にあう。結構このおまじない効果がグロテスクなのと効果範囲の実態が凄すぎる。誰がおまじない…

陽炎の市

ドン・ウィンズロウ/著 田口俊樹/訳 ハーパーBOOKS 三部作二作目。前作から脱出し、舞台はアメリカの西の地域へ。前半は緊張感ある逃亡生活だが、後半は一転、華やかな映画界へと踏み出す。映画がなぜか一作目を元にしたもので最初に関わるアルターボー…

ししりばの家

澤村伊智/著 KADOKAWA 比嘉姉妹シリーズ3作目。比嘉家のことが少しずつ開示される。長女の琴子がメインの物語だとホラー度が上がって砂の描写が特に怖い。事件は解決してもその後不穏な雰囲気が残る。シリーズのせいか東村山市が霊的やばい街になってる。