2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

うわさのズッコケ株式会社

那須正幹/作 前川かずお/絵 ポプラ社 これ、子供の頃読むと、大変そうだけど楽しそう、という 感想だったのが、大人になって読むと、本当に 働くのって大変! という点が非常に共感を覚えるのであった。 小学生の会社経営のくせに、クラスの皆を巻き込んで…

群棲

黒井千次 講談社文芸文庫 郊外の一角にある、4家族の家庭の話を 連作短編で構成している。 どの家庭も「絵を描いたような幸福な一家」ではなく、 むしろ不幸がじわじわ迫っているような家庭ばかりである。 それが家庭内部だけではなく、後の方になるにつれ …

連舞

有吉佐和子 集英社文庫 家元制度とはなんぞや、という疑問がある人にお勧めだと思う。 この人の物語は、人間関係の暗部の心理がよく書けている。 相変わらず怖いよう。 そのうち『恍惚の人』を読もうと思うのだが、 なるべく早く読んだほうがいいのか、 30年…

日本三文オペラ

武田麟太郎 講談社文芸文庫 『暴力』『反逆の呂律』『日本三文オペラ』 『市井事』『一の酉』『井原西鶴』 『横光利一』『川端康成小論』『西鶴町人物雑感』 『好色の戒め』『京都学校』『ああ、俗悪なる―』 『日本三文オペラ』がやはり一番面白い。 『川端…

死の仕立屋

ブリジット・オベール/著 香川由利子/訳 ハヤカワミステリ文庫 サイコキラーの視点と警察官の視点が混じっていて、 サスペンス系なのかなあとずっと読んでると、エピローグに脱力。 シリーズものかーというか、ホラーだったのかい。 エピローグから、ゲーム…

犬が星見た

武田百合子 中公文庫 1960年代の旧ソ連(ロシア)旅行記。 読むのに時間はかかったけど、読後感が良かった。 ただ、この旅行の後に百合子さんの夫の武田泰淳、 泰淳の友人竹内好 (共に作家。どちらも今入手しにくい人たちだ)が病死している、 という歴史的…

花のズッコケ児童会長

那須正幹/作 前川かずお/絵 ポプラ社 大人になっても役に立つ知識が入っているのが ズッコケ三人組シリーズだが、児童会長の選挙話は やり方が大人の世界の選挙の方法とほぼ似通っているので、 選挙違反の話が役に立つ。 皆本くんの演説泣けるのだ。

こちらズッコケ探偵事務所

那須正幹/作 前川かずお/絵 ポプラ社 ズッコケは探偵ものとSFものの話が何度か出てくるのは、 子供はそういうのが好きだ、 というのと那須先生自身も好きなのだろうな。 かなり大掛かりな犯罪が小学生によって暴かれる過程が面白い。 今回最も笑えるのは、…

見知らぬ者の墓

マーガレット・ミラー/著 榊優子/訳 創元推理文庫 自分の墓を見た、という夢を見たのが 家庭崩壊の原因になるのは良いのか、悪いのか……。 腹に一物あって、ある意味自分の感情に正直な人ばかり出てくる。 マーガレット・ミラーの夫のロス・マクドナルドも 家…

巨人の星

全19巻 梶原一騎/原作 川崎のぼる/漫画 講談社KCコミック 年始空けからちまちま読んで読了。 アニメを断片的に観ているのでおおよその筋は知っていたが まともに原作漫画を読んだのは初めて。 原作の方がアニメ観る度気になっていた顎が そんなにしゃくれ…

とびだせズッコケ事件記者

那須正幹/作 前川かずお/絵 ポプラ社 三人三様の性格がとてもよく書かれていて 愉快で笑える。 特にモーちゃんのケーキ食べ過ぎエピソードは最高!

ズッコケ心霊学入門

那須正幹/作 前川かずお/絵 ポプラ社 ズッコケに限らず、那須先生のお話で さびしい環境の子供の話が案外多い気がする。 心霊学は当時ブームだった心霊&超能力ものがテーマ。

地獄の道化師 他一編

江戸川乱歩 春陽文庫 収録作品:『地獄の道化師』『一寸法師』 どっちも奇形ネタ(まあ乱歩にはよくある設定)のもので、 『地獄の道化師』は精神的な奇形、 『一寸法師』はそのものというところか。 どちらもおどろおどろしい内容である。 明智が差別発言連…

晴子情歌

(上)(下) 高村薫 新潮社 奥付の後の広告が全て新潮ミステリー倶楽部だが、 この話はミステリーではないと思う。 人は死ぬが、死ぬべくために死ぬ感じなのだ。 晴子の息子に宛てた手紙の、過去の思い出に対する執拗さが、 しかも旧かな使いのためかより強…