2005-01-01から1年間の記事一覧

新装 世界の文学 セレクション36 13 C・ブロンテ

シャーロット・ブロンテ/著 河野一郎/訳 中央公論社 収録作品/『ジェイン・エア』 子供の頃の漫画版(どこのかは不明)で読んだきり。 エミリーの『嵐が丘』は文庫化されているのに、 なぜこれはされないの? 紳士階級と家庭教師の恋愛小説でもあり、 お…

ズッコケ中年三人組

那須正幹 ポプラ社 発売予告よりも早く発行! 『劇画オバQ』みたいな展開を思わせるのは ほんのちょっとだけでした。 あとは、小学生バージョンと同じノリ。 40歳になっているのに、たいして成長してないよ、三人組。 これってあとがきで書かれているとおり…

敗戦日記

高見順 中公文庫 題名通り、昭和20年の「最後の文士」が書いた日記。 東京の空襲で、銀座のどこが焼けたとかいうあたりの 内容が細かいので、現在の地域と比較想像がしやすい。 当時のリアルな気持ちを割と正直に書かれた日記だと思う。 文士仲間として出て…

エマ 第4巻

森薫 エンターブレイン 毎月1巻ずつ読んでいます。 ちなみに最終巻が来年3月らしいので ペースとしてちょうどいいかも。 さて、3巻までのゆっくりしたストーリーが 4巻になって急激に進んで驚いたよ。 エマとウィリアムの再会とそこまでの道のり含め うわー…

恋は肉色

菜摘ひかる 光文社文庫 彼女が亡くなったのが2003年だったから、 もう二年の月日が立つのだなあ、とふと思い出して 何度目かわからないけど、また読んでみた。 だいたいが、仕事へのプロ根性な部分が印象に残っていたのだけど、 『風俗漂流日記』の後半の精…

伯林-一八八八年

海渡英祐 講談社文庫 若き日の森林太郎(森鴎外)ドイツ留学時を題材にしたミステリ。 密室殺人事件に対し、 急遽探偵役をつとめることになった鴎外。 ビスマルク等、実在人物も登場して豪華なはずなのだが、 人物の使い方がもったいない。 解説で中島河太郎…

サイラス・マーナー

ジョージ・エリオット/著 土井治/訳 岩波文庫 忘れがちなので、メモしとく。 ジョージ・エリオットという男性名だけど女性であるということを。 大人のおとぎ話で普通にいい話です。 若い頃に友に裏切られて金だけが唯一だったのが、 やはり金を失い、そのか…

恋文のおんなたち

連城三紀彦 文春文庫 エッセー+対談+短編が収録。 直木賞受賞作の『恋文』の 出版前後の時期のころのばかりなので、古めかしさあり。 対談の項に写真掲載されている 林真理子が一番印強烈なのってどうなのよ。

かの子撩乱

瀬戸内晴美 講談社文庫 再読したよ。 『岡本かの子 ちくま日本文学全集』読んだから。 瀬戸内晴美(寂聴)は伝記小説系が面白いなあ。 太郎という特異な子供ができるのは当然の結果だったとわかる。 よく悪い方向へ捻られなかったな、太郎。大人だな、太郎。…

平成着物図鑑

君野倫子 河出書房新社 タイトルどおりな内容なわけで。 写真やレイアウトは可愛くて好きだが、 この河出で刊行している着物シリーズに もっと詳しい内容のものを期待しては駄目なのかな。

伽羅の香

宮尾登美子 中公文庫 半ばから、身内の死が続き、また自らの病のために 必死の築き上げた香道での地位から転げ落ちて、 不幸な生涯になっていく様の残酷さはなんだったのだろう。 後半、いくら大富豪でも、美人でも、香道の技術が高くても、 結局は生まれつ…

悪魔物語・運命の卵

ブルガーコフ/著 水野忠夫/訳 岩波文庫 両作品とも、二つの大戦に挟まれた時代の空気がある。 『悪魔物語』は革命後ロシアの不条理物語。 よく書いて逮捕されなかったものだ。 『運命の卵』はSF。両生類と爬虫類が嫌いな人は 気持ち悪い話かも。神の領域を犯…

弥陀の舞

水上勉 角川文庫 水上勉お約束な、薄幸系少女が主役な話。 ああ、またですかという感じなのだが、 叙情的に話が進むので途中で気にならなくなる。 解説によると、谷崎潤一郎、宇野浩二の系譜らしい。 実際、水上勉は推理小説も書いているけれど、 宇野浩二の…

トーベ・ヤンソン短篇集

トーベ・ヤンソン/著 冨原 眞弓/訳 ちくま文庫 短篇のみではなく、エッセイもあり。 書簡集というのもあるのだが、日本の女子中学生からの手紙文のみで トーベ・ヤンソンの返信内容が全くないのが謎。 ムーミンシリーズもそうなのだけど、 ここで収録されて…

エマ 第3巻

森 薫 エンターブレイン ゆったりストーリーが流れて、 エマに関わる登場人物が今巻で揃った感じ。 『エマ ヴィクトリアンガイド』内容は 3巻までの内容なのだったのだね。

飢餓海峡

(上)(下) 水上勉 新潮文庫 裏表紙のあらすじ内容ばらし過ぎなのだが、 内容がわかっていても、ラストに感動。 戦後直後の混乱期から昭和30年前後を背景に起こった 殺人事件を軸に 八重の純粋さ、樽見の心の背景にある暗い闇、 刑事達の執念が、入り交じ…

女神

三島由紀夫 新潮文庫 <収録作品> 『女神』『接吻』『伝説』 『白鳥』『哲学』『蝶々』 『恋重荷』『侍童』『鴛鴦』 『雛の宿』『朝の純愛』 ほとんどが昭和20年代の短篇。 特殊な感覚の愛のかたちを描いているのが三島らしい。

岡本かの子 ちくま日本文学全集

岡本かの子 筑摩書房 短篇、短歌、一部書簡を収録。 作品数が多いので省略。 短篇は有名ところはほぼ収録されていると思う。 フェロモンある文章が素敵。 小説は案外本格的に書き始めが遅くて、 本腰を入れたのは晩年10年に満たないとは思えない程 艶やかな…

鬼九郎鬼草子―舫鬼九郎〈第2部〉

高橋克彦 新潮文庫 江戸を離れて会津へ向かう鬼九郎一行は 少し『柳生忍法帖』とイメージが重なりました。内容は別物だけど。 時代的に出てもおかしくない由比正雪が出てきた! 味方がどんどん加わって大所帯になると 登場人物を把握していくのが大変?

香水―ある人殺しの物語

パトリック・ジュースキント/著 池内 紀/訳 文春文庫 ハードカバー版が出始めの頃の読了本を再読。 18世紀フランスに出現した、 醜いが匂いについては天才的な男の奇想天外な生涯を描く物語。 というだいたいのあらすじは憶えていたにもかかわらず、 詳細と…

機械・春は馬車に乗って

横光利一 新潮文庫 <収録作品> 『御身』『ナポレオンと田虫』『春は馬車に乗って』 『時間』『機械』『比叡』 『厨房日記』『睡蓮』『罌粟の中』 『微笑』 中学だかの国語の教科書に『蠅』が掲載されていたときは、 それ程感心もしなかったが、本作収録の…

舫鬼九郎

高橋克彦 新潮社文庫 正しき伝奇時代小説でした。 しっかり今後シリーズ化するぞ、という 流れに則った内容です。 実在人物が豪華に続々登場したりして 伝奇系はどこかきらびやかなイメージがあって わくわく感がなくっちゃね、 という向きではとても正統派…

怒りの葡萄

(上)(下) スタインベック/著 大久保康雄/訳 新潮文庫 とっかかりが読みづらかったが、慣れれば問題なし。 文句なしの名作。 20世紀前半の世界大恐慌時代のアメリカ失業問題の話なのだよね。 ジョードー一家は葡萄摘みの仕事はしていなかったので、 タイ…

エマ 第2巻

森 薫 エンターブレイン 2巻になって物語が動いてきた。 登場人物の心情の流れが押さえ気味で描かれているので、 それがわかりにくい時もあるかも。 掲載雑誌の『ビーム』はどちらかというと ターゲットが男性向けな気がするのだが、 『エマ』は少女漫画だよ…

大いなる幻影・華やかな死体―江戸川乱歩賞全集(4)

講談社文庫 『大いなる幻影』戸川昌子 『華やかな死体』佐賀 潜 前者は奇妙な味系サスペンスで 後者が法廷物と種類は違うが どちらもレベル高いねえ、同時受賞も納得。 しかも、最終選考で 『虚無への供物』中井英夫と 『陽気な容疑者たち』天藤 真がいたな…

山の音

川端康成 新潮文庫 昭和20年代が舞台で、 鎌倉の季節によって色合いが異なる自然風景の描写は美しい。 いいのは文章くらい? これを読む限り、登場人物の年齢はプラス10歳加算を イメージで読まないとつかみにくい。 ここで書かれる家族は、 穏やかな雰囲気…

楽しみは創り出せるものよ ターシャ・チューダーの言葉2

ターシャ・チューダー/文 リチャード・W・ブラウン/写真 食野雅子/訳 メディアファクトリー ターシャ・チューダーは、ケイト・グリーナウェイ系の絵を描く人で、 21世紀の現在、18世紀様式の生活を実践している、 というただ者ではないおばあさんの言葉と…

荊の城

(上)(下) サラ・ウォーターズ/著 中村有希/訳 創元推理文庫 『半身』よりこちらのほうが好き。 かなり分厚かったけどだれることなく読めた。 途中で予測できたところは第一部の部分までだった。 あとは予測もつけずに読むしかなかったよ。 下層社会や当…

わたしが好きな和の生活

きくちいま 河出書房新社 今回は、着物の本ではなくて、簡単にすぐできる 和素材生活な本。 内容はいいのだけど、 子供さんの写真出さないほうがいいのでは……。

長い道

こうの史代 双葉社 この人の本来の路線はこちらなのだろうな、と思わせる。 1話3ページか4ページ内のショートショートの漫画で、 いろいろ実験的な話もあります。 それにしても、この人の絵は平成の時代に書かれているのに いい意味あいで、昭和の香りがする…