2022-01-01から1年間の記事一覧

1978年のまんが虫

細野不二彦 小学館 細野不二彦の自伝漫画。こういう時代背景も含めた自伝好き。慶應大学(作中では「丘の上大学」)に通いながら「スタジオぬえ」とも関わり、漫画家デビューすると書くと順調そうな人生であるが、一方家庭やプライベートの暗さなども描かれ…

われらが痛みの鏡 上・下

ピエール・ルメートル/著 平岡敦/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 三部作完結。二つの大戦間の物語。本作では、2作目に出ていた少女ルイーズが大人になって登場。彼女の物語を中心として、脱走兵になった二人の青年や稀代の詐欺師などの話が交互に語られ後半で同…

日時計

シャーリイ・ジャクスン/著 渡辺庸子/訳 文遊社 シャーリイ・ジャクスンの既刊本の長編2作と同様、お屋敷が舞台。世界が終わるが屋敷内にいれば助かるという「お告げ」が起こる。最後唐突に終わるので世界は本当に終わったのかは不明。ホラー風味な部分もあ…

魔術師の夜 上・下

キャロル・オコンネル著 務台夏子/訳 創元推理文庫 マロリーシリーズ5作目。他は既読だが本作だけ抜けていてやっと読了。たびたび名前が出ていた、チャールズの従兄であるマジシャンのマックスの仲間だった老人たちの現代と過去の事件。マラカイにマロリーが…

暗鬼夜行

月村了衛/著 毎日新聞出版 いや怖かった、現実ぽい内容で。読書感想文盗作疑惑事件を発端に、LINEを始めとした噂操作、学校統廃合の騒動など続々と問題が発生し主人公が社会的に抹殺されるに近いラストへ向かう。

忌名の如き贄るもの

三津田信三/著 講談社 刀城言耶シリーズ第11作目。忌名儀礼に関する殺人事件民俗学部分がミステリに落とし込めている。冒頭の儀式の話でふと思ったいやな想像が伏線となってホラーオチに繋がるとは。

喪失の冬を刻む

デイヴィッド・ヘスカ・ワンブリ・ワイデン/著 吉野弘人/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 アメリカはサウスダコタの居留地に住む主人公。日本では馴染みが薄い、アメリカ先住民の現代生活描写が新鮮。先住民内でも同じ部族同士ではない結婚で生まれた子どもは混血…

パリのアパルトマン

ギヨーム・ミュッソ/著 吉田恒雄/訳 集英社文庫 タイトルと設定だけだとロマンチックミステリのようだが、いろいろ狂っている話だった。天才画家の死の謎を追っていくうちに主人公二人の悩みや過去も重なっていく。終わり方がフランスミステリぽい。

統合失調症の一族

ロバート・コルカー/著 柴田裕之/訳 早川書房 ノンフィクション。12人の子どもかつ下の2人以外は男というのもびっくりだが、うち兄弟6人が次々と統合失調症を発症してしまう。しかし病気だけではなく暴力半端ない兄弟喧嘩や、妹たちへの性的虐待など問題が多…

幻のハリウッド

デイヴィッド・アンブローズ/著 渡辺庸子/訳 創元推理文庫 ハリウッドをテーマにした不気味で奇妙な内容ばかりの短編集。まあ、ハリウッドというものは奇々怪界なイメージだからどんなことがおこっても違和感はない。

女の園の星 第3巻

和山やま 祥伝社 カレーと三者面談の話がすごく面白かった。人前でご飯が食べられない生徒の話は深刻な話なはずなのに笑える。

降る森の犬

馳星周/著 集英社文庫 初期の作品しか読んだことなかったので、ノワール路線ではない本作に新鮮な驚きを覚えた。犬を通しての女子中学生の成長物語。蓼科の自然やワルテル(犬)の描写が素晴らしい。

北斗 ある殺人者の回心

石田衣良/著 集英社 女性二人を殺害した北斗。幼少時から殺人、裁判までの人生が語られるがなんとも理不尽すぎる。殺人はアウトだが加害者に同情する部分もあったり複雑な気持ちにさせられるばかりだった。

ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介

川瀬七緒/著 講談社 別の法医昆虫学捜査官シリーズのように、解剖学と服飾に詳しい変わった職業の専門家が探偵役をつとめる。人気出たら続編でそう。事件については社会問題が取り入れられていて悲しい結末だった。

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA 読み始めから想像もつかないスケールが大きい物語だったが、大団円できれいに完結。良かった良かった。イサリが持っていた本がもしやと思ったら、やはり青葉が絡んでいた!

機龍警察 火宅

月村了衛/著 早川書房 <収録作品>『火宅』『焼相』『輪廻』『済度』『雪娘』『沙弥』『勤行』『化生』 機龍警察シリーズのサイドストーリー的短編集。こうしてみると話を作りやすい登場人物とそうでない登場人物に分かれている。姿や沖津みたいなのは短編…

アーナルデュル・インドリダソン/著 柳沢由実子/訳 東京創元社 アイルランドミステリ、エーレンデュル捜査官シリーズ6作目。サマーハウスで自殺した女性の事件を調査する傍ら、古い失踪事件も追う。 別々の事件ではあるがとあることがきっかけで一気に解決の…

天冥の標IX ヒトであるヒトとないヒトと

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA 9巻。物語の全体像がわかってきて、登場人物たちにも、真の敵がわかって読者視点と近づいてきた。メニー・メニー・シープは破壊されずに済むのだろうか?

伊上勝評伝 昭和ヒーロー像を作った男

井上敏樹、竹中清/著 徳間書店 『仮面ライダー』や『仮面の忍者赤影』の脚本家伊上勝の評伝。子息でやはり脚本家の井上敏樹から見た伊上勝の話は少しかと思いきや一章まるまる本人が書いている。他関係者証言もあるが、上記だけでも十分濃い内容だった。

漫画家本スペシャル 永井豪本

永井豪 小学館 『デビルマン』『マジンガーZ』誕生50周年記念本。実際記念本で、作者インタビューや評論やお祝いメッセージなど。

天冥の標VIII ジャイアント・アーク

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA 前巻から300年後、1巻の時間軸へ戻る。1巻で即退場したか? と思われた登場人物たちが復活!イサリが子孫のイサリかと思ったら本人で驚いた。起承転結の「結」へと向かう、怒涛の伏線回収の話だった。

余命1年のスタリオン

石田衣良/著 文藝春秋 癌闘病もの。二枚目半の俳優が肺癌になり余命1年を宣告され、自分の生きている証を残すべく奮闘する。抗癌治療などの部分はシリアスで深刻だが、生活部分はコミカルにし明るい内容となっていた。

天冥の標VII 新世界ハーブC

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA 7作目。前作記事で >シェパード号は1作目の植民星>メニー・メニー・シープを目指すのだろうが、>ドロテア号も同じ星へ行くのだろうがその謎は次の話? と書いたけど検討違いだった。 本作は、6作目の直後からで大多数が子どもだ…

魔の山

ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/訳 文藝春秋 コルター・ショウのシリーズ2作目。とにかくサバイバル知識豊富な彼ならばの自己啓発系カルト集団へ潜入捜査が中心の物語。ディーバー作品のサスペンスものでよく起こる各章ごとのどんでん返しは控えめ。

このやさしき大地

ウィリアム・ケント・クルーガー/著 宇佐川晶子/訳 早川書房 1932年大恐慌に見舞われたアメリカ。日常的に虐待など起こる救護院から脱出しカヌーで旅する少年少女の成長物語かつロードノベル。プロローグで少なくとも主人公は生き延びられることはわかってい…

天冥の標 VI 宿怨

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA かなり長くなっためか巻末に過去分の主要用語・人物集が掲載されていたのでありがたい。 西暦2502年"救世群"が人類に宣戦布告。1巻目での謎の多い設定がここで回収されだす。タイトル回収もしたし。終盤で太陽系が沈黙する様子が…

円 劉慈欣短篇集

劉慈欣/著 大森望、泊功、齊藤正高/訳 早川書房 <収録作品>『鯨歌』『地火』『郷村教師』『繊維』『メッセンジャー』『カオスの蝶』『詩雲』『栄光と夢』『円円のシャボン玉』『二〇一八年四月一日』『月の光』『人生』『円』 デビュー作から『三体』との…

天国の修羅たち

深町秋生/著 角川文庫 ヘルドックスのシリーズ完結作。 まさか3作目の主人公で物語の結末もつけるのが 警視庁捜査一課の女性刑事とは予想してなかった。 話の長さは短かったがその分内容凝縮。

天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬の銀河

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA 4作目は3作目の数年後くらいだったが 本作は4作目から数十年後。 小惑星パラスで農業を営むタックと 反抗期の娘ザリーカの物語が中心。 それとは別に、実は過去作でもいまいち理解できてなかった 情報生命体ノルルスカインの誕生…

天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA 《恋人たち(ラバーズ)》という呼ばれる セクサロイドが誰によって誕生し存在しているのか、 彼らの幸福とは何かということが語られる。 《恋人たち(ラバーズ)》の物語なので、 あらゆる性描写が本編の大半で書かれていてくど…