読書の記録_国内作家か行

四日間家族

川瀬七緒/著 KADOKAWA SNSなどネットで個人情報をさらされて炎上する経緯が怖いし、この著者はゾッとする犯罪者を描くのが上手い。自殺志願者だった四人組が冒頭とラストで全く違う姿になって爽やかに。

二重拘束のアリア

川瀬七緒/著 小学館 賞金稼ぎスリーサム! の2作目。日本初の刑事事件専門調査会社を立ち上げた三人組に謎の夫婦殺し合った形跡がある殺人事件の再捜査依頼が入る。今作でも、事件の真犯人像が怖すぎ。

クローゼットファイル

川瀬七緒/著 講談社 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介2作目。今回から正式に警察のアドバイバーとなって物語の範囲が広がった。従来どおり未解決事件の解明が中心であるが、桐ヶ谷が防ぎたい児童虐待児への事件にも介入できるようなって警察と連携するメリットが生まれ…

母になる、石の礫で

倉田タカシ/著 早川書房 3Dプリンタでなんでも生み出せる数百年後の未来。地球外で生活する3Dプリンタで生まれた少年少女の物語。作中の「母」という概念が少し読んでいてこんがらがる。背景世界なども複雑だが、少年少女たちの一種の青春物語というか成長も…

ぼくらは怪談巡礼団

加門七海、東雅夫/著 KADOKAWA 怪談専門雑誌『幽』の企画もの。怪奇もので有名な土地を訪問して毎度奇妙な体験をする。参加したことによって霊感持ちになってしまったらしきU君がなんだかかわいそう。

虎を追う

櫛木理宇/著 光文社 30年前の殺人事件が冤罪ではないかという疑問から独自の捜査を始める元刑事、と割とある出だしであるが彼の孫とその友人が関わることで、SNSや動画サイトを駆使するところが現代的に。「虎」の正体がぎりぎりまだ判明せず、犯行がまた行…

反社会品

久坂部羊/著 KADOKAWA 著者お得意の医療もの短編集。どの作品も不快な登場人物がでてくる。取り上げているテーマに対して皮肉的な物語が多めだった。

ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介

川瀬七緒/著 講談社 別の法医昆虫学捜査官シリーズのように、解剖学と服飾に詳しい変わった職業の専門家が探偵役をつとめる。人気出たら続編でそう。事件については社会問題が取り入れられていて悲しい結末だった。

うらんぼんの夜

川瀬七緒/著 朝日新聞出版 閉鎖的村ホラーのようで事件の結末はホラーでないミステリものだが、 ホラー的結末もあるというややこしい話。 主人公格の女子高生たちがなんのかんの逞しい。 村の年寄りが村の因襲にしがみついて 東京から来た家族を迫害している…

ブスの本懐

カレー沢薫/著 太田出版 著者自身の自虐も含み、小気味よいツッコミを入れながら 「ブス」について考察しているからOKな 中身に仕上がっている? お題決めている担当はひどいけど。 軽めで一気に読めそうかなと思ったのだが、 エッセーの内容よりも本書で使…

千日のマリア

小池真理子/著 講談社 <収録作品> 『過ぎし者の標』『つづれ織り』『落花生を食べる女』 『修羅のあとさき』『常夜』『テンと月』 『千日のマリア』『凪の光』 男女の物語だけど恋愛小説と いいきれない短編集。

異形のものたち

小池真理子/著 KADOKAWA <収録作品> 『面』『森の奥の家』『日影歯科医院』 『ゾフィーの手袋』『山荘奇譚』『緋色の窓』 ゾッとする恐怖感というよりは 物悲しい感覚がするホラー短編集。

夜は満ちる

小池真理子/著 新潮社 <収録作品> 『やまざくら』『縁』『坂の上の家』 『夜は満ちる』『イツカ逢エル…』『蛍の場所』 『康平の背中』 全て、女性が主人公で恋愛が絡む 幻想ホラー小説短編集。 どれも話の過程は普通の恋愛小説として進むのに ラストでぞっ…

あの夏、風の街に消えた

香納諒一/著 角川文庫 新宿の夏の物語。 話の背景に天安門事件や地上げ問題などあって 1990年という設定が大事なのだろう。 死人も多くてハードボイルド風なのだが 実際は、一人の青年の成長青春物語だった。

神州纐纈城

国枝史郎/著 講談社大衆文学館 未完の伝奇小説。 石川賢の漫画版の方を先に読んでいたが、 結構原作に沿っていたとは。 奇想天外で面白い。

賞金稼ぎスリーサム!

川瀬七緒/著 小学館 登場人物のイメージが固定されそうな 表紙はちょっと好みではないが 中身はコメディ風でシリアスな展開だった。 シリーズ化しそうな感じだったがやはり次回作があるらしい。

代表取締役アイドル

小林泰三/著 文藝春秋 著者は2020年に亡くなっている。 SFやホラーを主に書いているイメージだが こういう会社ものを書くとは意外だった。 タイトルのとおりアイドルが代表取締役になるという とっぴな設定であるが書いているのは 大会社の腐敗やパワハラで…

博物館ななめ歩き

久世番子/著 文藝春秋 漫画はほぼなくイラストエッセイ。 東京が多いけど行ったことがないところが多い。 外出自粛でなかなか出かけられない今日このごろ この本で行きたいところをピックアップしていこう。

新カラマーゾフの兄弟 (上)(下)

亀山郁夫/著 河出書房新社 分厚い! 現実だか夢なのか曖昧な描写がかなり続くが、 1995年という時代を背景とした 黒田家の謎、宗教団体の暗躍、 著者の私小説風なKのパートなど濃い内容だった。 『よちよち文藝部 世界文學篇』で訳者のお話の ゲストとして著…

悪医

久坂部羊/著 朝日新聞出版 末期ガンに直面する医師と患者 それぞれの視点で書かれる物語。 医師のいうことももっともだが患者側が 動揺する突き放すような説明は良くないなあと思う。 患者の小仲の精神が不安定なためか 何かとんでもないことする方向へ行か…

無痛

久坂部羊/著 幻冬舎 この著者の作品は、一見ノンフィクション風のもあるが 本作は、完全にフィクションで物語が進む。 ラストがホラー風なのは必要ないかも。

スワロウテイルの消失点

川瀬七緒/著 講談社 シリーズ7作目。 全体の構成はもはや様式美なのだが、 素材が異なるためか飽きることなく読める。 赤堀の味方が作品を重なるごとに少しずつ増えている。

コップクラフト 3

賀東招二/著 ガガガ文庫 アニメでは使用されなかったエピソード。 未成年犯罪にて後味悪すぎるからか。 ボーナストラックでさらっと 本編の登場人物に関するネタバレあり。

コップクラフト

賀東招二/著 ガガガ文庫 アニメ原作。 エピソードがそのままなのでさらっと読めた。 文章は確かにアメリカドラマ風を意識されている。

作家の人たち

倉知淳/著 幻冬舎 <収録作品> 『押し売り作家』『夢の印税生活』『持ち込み歓迎』 『悪魔のささやき』『らのべっ!』『文学賞選考会』 『遺作』 著者のデビュー作を読んだことがあって そこからだいぶ久しぶりに読んだのだが 最近はこのような作風になって…

ブギーポップは笑わない

上遠野浩平/著 電撃文庫 発売当時、結構売れていたのは知っていたが 読むのは初めて。 アニメ観てから読んでみた。 アニメでよくわからなかった部分が小説で補完された感じ。

ランウェイ

幸田真音/著 集英社 ファッション業界でサクセスを目指す 主人公の成長物語。 東京、ミラノ、パリ、ニューヨークと 世界が舞台なのに関係者が狭いのと 大きく話が変わる部分が漫画的なのは気になったが 勢いと迫力で一気に読むことができた。

わざわざゾンビを殺す人間なんていない。

小林泰三/著 一迅社 表紙イラストは意味ないものかと思っていたが 作中にちゃんと該当シーンがあった。 ホラーでSFでミステリで、と ジャンルに収まりきれない設定の小説だった。 著者らしいといえば著者らしい。

紅のアンデッド

川瀬七緒/著 講談社 岩楯刑事は、相棒が鰐川刑事の方が やはり物語の進め安定する。 事件関係者たちの闇が深いのも定番だが、 今作で元気が取り柄のようにみえる 赤堀先生の心の闇がでてきて重い。

海の稜線

黒川博行/著 創元推理文庫 初期の大阪府警ものだが、 話の掛け合いの妙味はこのころから。 話のスケールが大きいが 解決部分があっさりとしすぎか。