2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

新リア王 (上)(下)

高村薫/著 新潮社 青森の福澤家一族を巡る物語の 三部作中二作目。 『晴子情歌』で東大卒業後に漁師になっていた 晴子の息子彰之が出家していた。 彰之が在住している寺に栄が訪ね それぞれが自分の生涯とからめて1980年代の政治・仏教の話を 延々と語り尽く…

限りなき夏

クリストファー・プリースト/著 古沢嘉道/編訳 国書刊行会 <収録作品> 『限りなき夏』『青ざめた逍遥』『逃走』 『リアルタイム・ワールド』『赤道の時』 『火葬』『奇跡の石塚(ケルン)』『ディスチャージ』 短篇といえどもプロットが難解! でも、その…

レディ・ジョーカー (上)(下)

高村薫/著 毎日新聞社 『マークスの山』『照柿』と続く合田刑事シリーズ? 三作目。 単行本版で読了。 ビール会社社長誘拐事件については、 グリコ・森永事件をベースにしたのが明らか。 背景に部落問題や株やら重い事項を組み込み、 犯人側・会社側・警察側…

きんぎょ kingyo

高岡一弥、久留幸子 ピエ・ブックス 金魚ビジュアルブック。 アート本とデザイン本の中間? オールカラーで3800円プラス税はそんなに高くないかも、 とはいえ自分で所持するための決心は、 数年もたっていたくらい気楽ではなかったな。 でも購入して満足。 …

うさぎドロップ 第6巻

宇仁田ゆみ 祥伝社 高校生になってからの第2部2冊目。 中学時代のエピソードも少しあったり。 この巻でいろんな意味で恋愛フラグが壊れたが それに対してのフォローは今後あるのだろうか? 話が変な方向へ行かないことを切に願います。

続 明暗

水村美苗/著 筑摩書房 漱石の絶筆作品『明暗』を完結させた作品。 文章はかなり漱石っぽく旧かな文体で上手。 水村美苗の処女小説作品であるが、漱石作品の 世界を壊さずに綺麗にまとめてある。 以下内容にかなり触れます。

私小説 from left to right

水村美苗/著 新潮文庫 横書き。読みづらかった……。 アメリカ在住で永住権まで持っていても アメリカ人になれきれず、かといって日本にも 自分の居所がなさげ……な不安定な感情を持つ 姉妹が英語まじりの日本語会話で家族の物語を語っている。 ちなみに、水村…

明暗 夏目漱石全集(9)

夏目漱石/著 ちくま文庫 漱石遺作。途中で中断されていて結末が不明のまま。 ・主人公が痔の手術で入院 ・退院後温泉療養の旅へ行き昔の恋人に会う というのは記憶にあったが他は綺麗に忘れていた。 とにかくも心理描写が漱石作品の中で最も細かく、 皆本音…

本格小説 (上)(下)

水村美苗/著 新潮社 現在では廃れている本格小説という手法を 使って書かれている。 本格小説は通俗的だと言われるがスケールが大きい所が 良いよね。 『嵐が丘』をモティーフにしているのは途中で気づくとはいえ、 すごく濃厚な世界に堪能できた。 戦後直後…