群棲

黒井千次 講談社文芸文庫

郊外の一角にある、4家族の家庭の話を

連作短編で構成している。

どの家庭も「絵を描いたような幸福な一家」ではなく、

むしろ不幸がじわじわ迫っているような家庭ばかりである。

それが家庭内部だけではなく、後の方になるにつれ

三者から見ても、この家庭はどこかがおかしいのでは? という

ものが表面に出ている。

一応、一話ごとに一家族のエピソードが書かれているが、

どの登場人物も、悲観的である。

4家族以外の異邦者の視点から構成される

短編も2つあって、エピソードもあるのでバランスが良い。