再読本なので、いつもと違う視点で読んでみた。
『三四郎』
三四郎の若さゆえの馬鹿っぽさは、まあ二の次。
美禰子の心理が読めないのは、三四郎の目で話が進むので当然。
ただ、広田先生みたいな人を出すのが
この小説の凄いところだと思う。
だって、明治時代に日本もどんどん発展するだろう、
というのに対し、
「亡びるね」
と広田先生に言わせる辺りとか。
広田先生の
「その時僕が女に、あなたは画(え)だと云うと、
女が僕に、あなたは詩だと云った」
という部分の夢の話とか。
『それから』
学校卒業してから、
30くらいになっても一度も就職経験がない代助。
なのに、親の金で風呂付き一軒家に住み、
さらに下女と書生も住まわせている代助。
働かない理由を
「なぜ働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。
つまり世の中が悪いのだ」
と言う代助。
代助と三千代の道ならぬ恋愛について読む、
のが通常なのだけど、今回は、上記にあるような
代助のニート生活を生暖かく見守る読み方も
できるのでなかろうかな。