からくり民主主義

高橋秀実 草思社

新興宗教原発基地問題……等、

どれもが社会派なテーマである。

表紙の見返しのこの本についての内容も真面目そうだ。

この著者は、フリーペーパー『R25』で創刊号から

ずっと巻末でエッセイともコラムともつかないものを

隔週で連載している人である。

なので、真面目で深刻のはずの社会派なテーマの本書も、

あのエッセイだかコラムだかの、ノリの調子で書かれているため、

こちらも気構えずに読むことができた。

個人的には『R25』で一番面白いコーナーだと思う。

このノリは著者の特徴らしく、わざとそうしている

感じもないのでいい。

自殺について書かれている9章の「ぶらさがり天国」

(自殺名所の青木ヶ原樹海付近の地元民についての話)など

本来なら笑うようなテーマでないはずなのに、

笑ってしまったくらいだった。

「半端な気持ちでやるな。そこいらじゅうに放置するな。と村人は強く訴える。

 聞いてみると、何やらゴミ問題のようである。

そもそも自殺とは肉体という粗大生ゴミを、ビルの下や線路の上など、

ところ構わず投げ捨てることである。

当人がゴミそのものなので、あとで注意しても返事すらしないので始末が悪い。

 生ゴミはマナーを守って出す。それが社会の常識なのである。」