谷間の百合

バルザック/著 石井晴一/訳 新潮文庫

アガサ・クリステイーのお気に入り本だったはず。

中身は「みっしり」文章が。

純真な青年と伯爵夫人のプラトニックな恋愛小説。

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とはいっても、後半で青年フェリックスが

肉欲愛情対象の女性ができたせいで

伯爵夫人アンリエットが嫉妬のあまり病で死ぬのがクライマックス。

アンリエットの娘がフェリックスを憎むのは当然だろうし、

ほぼ全部がフェリックスの回想手記なので、

とても美化された内容になっている。

これを読んだナタリーが突き放すような返事を書く事で

読者は客観的になれるのかな。(にしても最終数ページなのだが)

後は話自体よりもバルザックの年譜の方が濃い。

バルザックが愛人関係を結ぶ女性達が全て既婚女性……。