ふたりジャネット

テリー・ビッスン/著 中村融/訳 河出書房新社

<収録作品>

『熊が火を発見する』『アンを押してください』

『未来からきた二人組』『英国航海中』

『ふたりジャネット』『冥界飛行士』

『穴のなかの穴』『宇宙のはずれ』『時間どおりに教会へ』

もちろん、奇想コレクションシリーズより。

テリー・ビッスン作品初読了。

アメリカSF界屈指の技巧派だそうだ。

今回も時間あるから各作品の感想を軽く書いてみるよ。

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『熊が火を発見する』タイトルどおり、熊が火を発見したら?

というアイディアからきた話。

ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞を受賞と作者の出世作らしい。

老女と熊達がたき火をしているシーンは何ともシュール。

インド、スリランカにしかいないナマケグマが

なぜかアメリカにいる風に書かれているのは謎。ほら吹き話度UPのため?

『アンを押してください』

銀行ATMが使用している人にふさわしきメッセージを出す奇妙な話。

『未来からきた二人組』

わかりやすいSFイメージを題材にしていますね。

『英国航海中』

イギリスのあの島自体が突然大海原を航海しだすという

奇想天外アイディアもの。でも、内容自体は渋いんだ。

『ふたりジャネット』

表題作。南部の田舎町に実在する世界的に有名な作家たちが

続々引っ越して来るというアメリカ文学好き向け作品。

『冥界飛行士』

なんだかね、悲しくなったよ。

「盲人に色がわかるのか?」という話を思い出したりした。

『穴のなかの穴』『宇宙のはずれ』『時間どおりに教会へ』

《万能中国人ウィルスン・ウー》シリーズもの。

月面旅行、宇宙の膨張、時間の伸縮という

実際に事件に巻き込まれるのは、ウーの友人の弁護士アーヴなんだけど。

「数字は嘘つかない」がモットーなので、数字苦手な自分は

途中頭が痛くなった……。一応ユーモア小説としても読めます。