吉村昭自選作品集 第11巻

吉村昭 新潮社

<収録作品>

羆嵐』『ハタハタ』『羆』

『海の鼠』『魚影の群れ』『海馬』

動物と戦う人々たちのドラマを収録。

羆嵐』これが読みたかったんだー。

大正時代にあった日本最大の熊害事件を小説化したもの。

かなり怖い話であるが、同時に熊撃ちの苦悩めいたものも

書かれている。

この話のはwikiでも記載されてるよ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/三毛別羆事件

『海の鼠』もすごい怖かった。

まさに突然「鼠が湧いた」村の話。

1949年~1963年頃まで続いたらしい。

村人初め県職員(鼠課長とまであだ名される)の

鼠への戦いはプロジェクトXみたいな展開だけど、

決定的にこれ、というのもないというのが怖い。

鼠への天敵である猫も蛇もイタチ(しかもノロイぽい外観の)も

たいして役に立たないって……!!

この話の元もWikiにあった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ねずみ騒動

全ての作品も共通しているのは、貧しき農村や漁村が舞台で、

近代以降の時代なのにも関わらず、

『日本残酷物語』的世界観なのが印象的だった。