完全版 怪人二十面相・伝

北村想/著 出版芸術社

<収録作品>

前編『サーカスの怪人』 後編『青銅の魔人』

映画『K-20 怪人二十面相・伝』の原作というか

映画の設定が小説とほとんど異なるので

原案というべきか。

北村想江戸川乱歩の著作を読んで

怪人二十面相とはいったい何者かということを

つきつめるために書いた作品。

明智がイヤなヤツで二十面相を愛すべき人物と

作者が肩もっているというスタンスなのであった。

太平洋戦争を挟んで明智小五郎怪人二十面相

代替わりをするという設定がユニーク。

以下ネタバレ含むぐだぐだ内容

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初代二十面相の丈吉が、

劇場型犯罪で世間をいかにあっと騒がせるかばかりを

腐心している所がいいよなあ。

健気すぎですごくイイやつに見えてくるくらい。

明智小五郎もそんな彼をニヤニヤと眺めつつも

いいライバルと見なしてるしなんとなく良い関係であった。

それに対して二代目二十面相の平吉と

二代目明智小五郎である元小林少年の関係は

少しねじくれたような関係のように感じた。

丈吉センセと母親を探すために二十面相になった平吉に対して、

元小林少年は、初代二十面相にされた数々を恨みにもっているからかな。

後編は太宰治も出てきて、史実と虚構が交差する流れが

面白かった。平吉は、自分が二十面相と周囲に言い過ぎだけどな。