文章はかなり漱石っぽく旧かな文体で上手。
世界を壊さずに綺麗にまとめてある。
以下内容にかなり触れます。
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やはり吉川夫人が諸悪のひとつであったという
方向になっていて、
清子がそのことと津田のエゴイズムな性格を
見破っていたために津田を振ったという流れは
自然で良かった。
とはいえ、温泉地にお延ばかりでなく小林やお秀まで
乗り込んで来るのは強引かも。
小林が『明暗』よりもいい人になっているぞ。
ラストについては、漱石的には津田の独白で
終わりそうと予測だったのが
お延のシーンで終わる解釈で書かれてるのに驚いた。
お延に肩入れしているのかな?