続 明暗

水村美苗/著 筑摩書房

漱石の絶筆作品『明暗』を完結させた作品。

文章はかなり漱石っぽく旧かな文体で上手。

水村美苗の処女小説作品であるが、漱石作品の

世界を壊さずに綺麗にまとめてある。

以下内容にかなり触れます。

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やはり吉川夫人が諸悪のひとつであったという

方向になっていて、

清子がそのことと津田のエゴイズムな性格を

見破っていたために津田を振ったという流れは

自然で良かった。

とはいえ、温泉地にお延ばかりでなく小林やお秀まで

乗り込んで来るのは強引かも。

小林が『明暗』よりもいい人になっているぞ。

ラストについては、漱石的には津田の独白で

終わりそうと予測だったのが

お延のシーンで終わる解釈で書かれてるのに驚いた。

お延に肩入れしているのかな?