萩原葉子/著 新潮社
<収録作品>
『蕁麻の家』『閉ざされた庭』『輪廻の暦』
『歳月 父・朔太郎への手紙』
少女時代の祖母や親戚による虐待、
結婚したけど夫とのすれ違いによる家庭崩壊、
作家して自立した後に自分を捨てた実母を引き取り看取る……と
辛かったであろう日々が赤裸裸に書かれている。
そんな中でも父だけは崇めるに近い愛情を持ち続けているのがいじらしいんだなあ。
まあ、『歳月 父・朔太郎への手紙』で子どもの虐待を
気づかないというか無視をしていた父親のことを冷静に書けているが。
実母が亡くなった後は幸せな人生を送れたようなのでよかった。
しかし、自分の息子や孫に対して距離感を感じる接し方をしてるのは
負の連鎖が残ってしまっていたのだろうか。
読者的には、横取りされた朔太郎の著作権を取り戻し、
作家として成功した後から、彼女の親戚たちのことが全く触れてないので
気になるところであった。