天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち

天冥の標Ⅳ: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA

 

《恋人たち(ラバーズ)》という呼ばれる

セクサロイドが誰によって誕生し存在しているのか、

彼らの幸福とは何かということが語られる。

《恋人たち(ラバーズ)》の物語なので、

あらゆる性描写が本編の大半で書かれていてくどい。

1巻に出ていたラゴスは皆のリーダーみたいなのに

本作では軽んじられているなあと思ったら

結末でそういうことかと腑に落ちた。

流浪地球

流浪地球

劉慈欣/著 大森望、古市雅子/訳 KADOKAWA

<収録作品>
『流浪地球』『ミクロ紀元』『呑食者』
『呪い5.0』『中国の太陽』『山』

 

表題作は映像化されていたためか長編かと思っていた。

太陽から離れて地球自体が宇宙船になるという発想が面白い。

他作品も、宇宙人が地球を食べようとするがその意外な正体や

人工太陽となる巨大な鏡を磨く仕事など

発想がどれも面白く、シリアス路線といよりはユーモア寄りで楽しい。

きのう何食べた? 第20巻

きのう何食べた?(20) (モーニング KC)

よしながふみ 講談社

 

20巻で15周年。

巻数が多い漫画は途中で飽きてくることもあるが

本作は作中人物と一緒に年を経ることができるためか

そんなことない貴重な作品である。

ケンジがなぜ「シロさん」呼びなのかの謎が解明する。

でも人伝で知るのはいかがなものか?

小日向さんの有能ぶりもすごい。

ジルベールとシロさんが小芝居する仲になるとは

当初予想もしなかった。

天冥の標 3 アウレーリア一統

天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA

 

シリーズ3作目は西暦2310年。

1作目の先祖や2作目の子孫が出てきて楽しくなってくる。

アウレーリアの先祖であるサー・アダムスが中心。

物語の軸はブレずに進むが、

本作では宇宙海賊との戦闘などのアクションが多め。

冥の標 2 救世群

天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

小川一水/著 ハヤカワ文庫JA

 

シリーズ2作目で、時代が201X年と現代に。

パラオの島から発生した謎の疫病。

世界中でパンデミックとなっていく流れが

現実世界のコロナウイルスの流行と似通ってることに驚異を覚えた。

冥王斑から生還した患者がずっと保菌者となって

隔離させられる状態はきつい描写もある。

シャギー・ベイン

シャギー・ベイン

ダグラス・スチュアート/著 黒原敏行/訳 早川書房

 

2020年度ブッカー賞受賞作品。

1980年代イギリス労働階級の没落と

主人公のシャギーと母親アグネスの生活をが重なる。

シャギーが主役という扱いになっているようだが、

真の主役はアルコール依存症に陥るアグネスの方だろう。

暗くて救いがない話だが最後まで読ませる。

妙なる技の乙女たち

妙なる技の乙女たち

小川一水/著 ポプラ社

 

SFお仕事連作短編集。

近未来のシンガポール沖にあるリンガ諸島で働く

日本出身もしくはルーツを持つ女性たちの物語。

お仕事小説なので失敗はしつつも前向きな女性たちが魅力的。

宇宙エレベーターと南の島という組み合わせが面白い。