虚栄の市

全4巻

サッカリー/著 中島賢二/訳 岩波文庫

タイトルが堅苦しい(原題は『VANITIY FAIR』)し、

18世紀末から19世紀初頭のお話なのでとっつきにくい感じがするが、

内容的には、虚栄の市を行き来する人々の人間悲喜劇の物語なので

とても読みやすかったりする。喜劇的要素の方が強いし。

「主人公のいない物語」とされているけれど、

悪女ベッキーと聖女アミーリアという対照的な女性たちの人生を中心に、

彼女らに関わる人々の話が展開される。

登場人物全員(あらゆる階級の人々が出てくる)が

俗物な描写が必ず書かれているので、

この辺は21世紀になっても変わらないのね。

ベッキーは悪女扱いだけど、憎めない性格。けれど、実際いるとやはり迷惑だよなあ。