凍てる庭

水上勉 新潮文庫

娘が誕生してから、一応小説だけで食べられるようになる頃までの

自伝的小説というか私小説

この小説の世界はわかりやすくいうと、

つげ義春の漫画(『無能の人』あたりの系統)がよく似合う。

戦後直後だから貧乏暮しで、失業だの離婚だの、

ともかく暗い話のはずなのにどこか哀愁とユーモアが混在する。

水上勉の通常の小説とは違い、私小説ものはやはり

宇野浩二の影響が強いせいか。