明暗 夏目漱石全集(9)

夏目漱石/著 ちくま文庫

漱石遺作。途中で中断されていて結末が不明のまま。

・主人公が痔の手術で入院

・退院後温泉療養の旅へ行き昔の恋人に会う

というのは記憶にあったが他は綺麗に忘れていた。

とにかくも心理描写が漱石作品の中で最も細かく、

皆本音と建前を持っている。

主人公の津田は、吉川夫人の策謀とはいえ

療養先で昔の恋人である清子と再会するが

それは何のためかどうしたいのか、

妻のお延は津田の過去を知ったらどうなるか、

清子はなぜ津田を振ったのか

などいろいろと謎のまま終わっているのが気になるなる。