武田百合子 中公文庫
読むのに時間はかかったけど、読後感が良かった。
ただ、この旅行の後に百合子さんの夫の武田泰淳、
泰淳の友人竹内好
(共に作家。どちらも今入手しにくい人たちだ)が病死している、
という歴史的事実があるのを知って読むと、所々そんな兆候がある
(この辺りは色川武夫の解説分参考。
解説の最後の一行、じんときた)。
飛び上がらなければ見えない位置にある鏡
(百合子さんはそんなに小柄なのか?)や
その土地ごとの人々や食べ物。とても気持ちのいい文体で読めるので、
旅行好きじゃなくても百合子さんと共に旅している気分になれた。
タイトルが犬なのは、百合子さんが泰淳に時々
「ポチ」呼ばわりされてたためらしい。
名作といわれる『富士日記』も読みたくなった。探してみようと思う。