犬が星見た

武田百合子 中公文庫

1960年代の旧ソ連(ロシア)旅行記

読むのに時間はかかったけど、読後感が良かった。

ただ、この旅行の後に百合子さんの夫の武田泰淳

泰淳の友人竹内好

(共に作家。どちらも今入手しにくい人たちだ)が病死している、

という歴史的事実があるのを知って読むと、所々そんな兆候がある

(この辺りは色川武夫の解説分参考。

解説の最後の一行、じんときた)。

飛び上がらなければ見えない位置にある鏡

(百合子さんはそんなに小柄なのか?)や

その土地ごとの人々や食べ物。とても気持ちのいい文体で読めるので、

旅行好きじゃなくても百合子さんと共に旅している気分になれた。

タイトルが犬なのは、百合子さんが泰淳に時々

「ポチ」呼ばわりされてたためらしい。

名作といわれる『富士日記』も読みたくなった。探してみようと思う。