2005-12-12 伽羅の香 読書の記録_国内作家ま行 宮尾登美子 中公文庫 半ばから、身内の死が続き、また自らの病のために 必死の築き上げた香道での地位から転げ落ちて、 不幸な生涯になっていく様の残酷さはなんだったのだろう。 後半、いくら大富豪でも、美人でも、香道の技術が高くても、 結局は生まれつきの身分に負けてしまったという感じだった。 家元制度の疑問というのが、読了後に出てくるのであった。 まあ、主人公の性格もあるけどな……。 東京で財産以外は何もかも失った主人公を、 最後に暖かく迎える故郷の人たちの素朴さが救いか。