長塚節 新潮文庫

貧乏本日本編。

明治末の農村の貧しい暮しぶりと四季の描写が

しつように書かれたもの。

まっ先に登場するお品がいきなり死亡して

しかもその原因が自分で中絶をしたための破傷風になったのだが、

全くぼかさずに書いてあるのがある意味すごい。

当時の検閲で引っ掛かりそうなのに。

ちなみに、お代官様がいないだけな江戸時代とさほど

変わらない世界な印象。

この『土』は内容よりも、この文庫の巻末にもある

夏目漱石の紹介文の方が有名。

今は、情報発達しているし歴史みたいなものでも

当時の農村の貧しさは知っているが

漱石の紹介文を読むと、都会の人は当時の農村の実態を

全く知らなかったらしい。漱石驚き過ぎだ。