夜愁 (上)(下)

サラ・ウォーターズ/著 中村有希/訳 創元推理文庫

二作目まではミステリだったけれど、

本作は文芸作品系と言った方がいいでしょう。

結構重め。

更に、時代背景が1941、1944、1947年と

ヴィクトリア朝時代と離れてたり、

一人称から三人称へ変更されたりしています。

とはいえ、百合世界がテーマの一つではあるのです。

以下内容に少し触れます。____

今回の作品は少し時間軸が変わっていて、

1947年から逆行して、1947年の結果が過去何があったためか

ということをたどっていく感じになります。

登場人物は結構多くて、何組かのカップルが出てきますが

一組以外は、全て女性同士のカップルです。

なお、異性カップルは不倫カップルで、男が酷すぎ。

かといって、女性同士のカップルがいいかというと、

こちらは嫉妬と不安等に満ち溢れてます。

しかも知り合い同士で別れたりくっついたりしているので、

相関図がわかりづらい時もあり。

1944年がメイン的なためか、

本書はロンドンが舞台だし、登場人物たちは世間的には

同性愛者ということは隠しているし、

別に強制収容所に入れられているわけではないけど

数年前に読んだ『ピンク・トライアングルの男たち』

連想したのでした。

※ロンドン空襲による死者の状態よりも

モグリの医者によって中絶手術の結果による体の状態は

かなりグロなので要注意。