この世界の片隅に 上巻

こうの史代 双葉社

『夕凪の街 桜の国』以来の過去の時代設定もの。

上巻は昭和18年12月、すずが広島から呉へ嫁いでから

昭和19年7月までの日常生活を丁寧に描いている。

ここまでは、空襲らしい空襲の描写もないので

通常のこうのさん作品のほのぼ路線であるが、

その分下巻が落差でないか心配だ。

すずの実家は市街地じゃないけれど

それでも広島市内だから……。

のんきな性格のすずでさえ、ストレスで円形脱毛症になるんだから

同居生活は大変だな……と心底思った。

あと、電化製品全くない時代の家事労働の描写が多いのはためになるね。

たぶん、東京在住の人とは違うだろうが。

本編前のすずの子供時代の短編漫画もいいよ。

戦前の地方の子供の生活話。昭和13年のあたりから防空頭巾常用だったとは!

書き下ろしの『鬼イチヤン』に笑った。