あさま山荘1972年 (上)(下)

 

坂口弘/著 彩流社

ということで、連合赤軍関係での幹部だった人物の手記。

『レッド』の谷川博のモデルの人。

本人の生い立ち、運動に関わる経緯、あさま山荘事件が記載。

あさま山荘内で盗聴に備えて自分たちの名前を山の名前から、

というのが『レッド』の登場人物名の参考になっているのかな。

リンチ殺人事件は最初の箇所のみで

(『レッド』でいうところの5番の人の殺害事件まで)

詳細は続編に書かれているみたい。

お話的には、警察側から見た『連合赤軍「あさま山荘」事件』よりもよかった。

とはいえ、同情は全くできないけれど。

自分の性格的な欠点や事件でとった自分の態度に対して

正直に書いている。幹部とはいえ主導権がもてずに

優柔不断さと流されやすい性格のようなため

悲劇を防ぐチャンスがあるのに防げなったのが

この人の問題点であったかも。

手記で書かれているとおりならば、リンチ殺人の首謀者は

逮捕後に自殺した森と永田洋子のようだね。

リンチ殺人がずっと続いたら次の対象者だったらしいし。

立松和平の『光の雨』の盗作元は

本作だそうだ。

この本に出ている描写や台詞の一部が

『レッド』でも使われているのに対して抗議がないか心配だったり。