春にして君を離れ

アガサ・クリスティー/著 中村妙子/訳 ハヤカワ文庫NV

メアリ・ウェストマコット名義の小説。

ミステリじゃないよ。

15年くらいぶりの再読かな。

弁護士と三人の子供の妻として

何不自由なく暮らしてきたジョーン。

旅先でたった一人で過ごすことになり

自分および周辺の人々についてを見つめ直すうちに

思わぬ事実が浮かび上がって……。

ジョーンがうざいオバちゃん、といいたいけど

このタイプの人って案外よくいるタイプ。

本人はすごい善意を持った人だと思っているけど、

実は自分の都合のいいように人を動かすタイプ。

そんな彼女が、周囲の人々の心の深層をがわかり、

自分は何者かを知る過程の流れが素晴らしい。

それでもって、あの結末は怖い。実際ありそうだし。

ジョーンの生き様は反面教師になる。