立松和平/著 新潮社
まずは雑誌連載当時、盗作問題で話題になったということで有名か。
一応、本編は書き直しをしたもの。
中は連合赤軍事件をベースにしたもので、
『十六の墓標』『あさま山荘1972』の著作が元。
『<盗作>の文学史』に詳細は書かれている。
元死刑囚だった玉井潔が、
死ぬ直前まで当時自分たちが何をしたのかを
予備校生の子供たちに語るという物語。
玉井の視点からの語りのみではなく
玉井の口を借りて別メンバー視点での語りになったりするのはともかく、
生き物ですらない銃の視点から語りだすのはびっくりした。
で、語りの内容はやはり元になっているものとほぼ同じなので
多視点という方法を使っているのに
別の見方ができる発見みたいなものはなかったな。