読書の記録_国外作家ら・わ行

監禁面接

ピエール・ルメートル/著 橘明美/訳 文藝春秋 フランスの中高年失業者問題を 扱っているシリアスものかと思いきや コメディ要素もあるので予想外だった。 怒涛の流れで少し疲れる。

戦火の果て (上)(下)

デイヴィッド・L・ロビンズ/著 村上和久/訳 新潮文庫 英米露の首脳陣たちと民間人たちの章が交互するが、 民間人編、特に敗戦へ向かうドイツ・ベルリンに住む 女性のエピソードが一番面白かった。

西部戦線異状なし

レマルク/著 秦豊吉/訳 新潮文庫 こちらも戦争もの。 第一次世界大戦に従軍した一青年の記録。 想像に反してとても読みやすかった。 読む前はずっとフランス側の話かとおもっていたが (著者の名前がフランス風だから?)実際はドイツ側の話だった。 近代戦…

慈しみの女神たち (上)(下)

ジョナサン・リテル/著 有田英也/ほか訳 集英社 元ナチスSS将校が戦後フランス人のふりをして日常おくってから 数十年後に戦争時を回想話。 主人公の複雑な過去や性癖と並行して ソ連侵攻・アウシュビッツ等強制収容所のエピソード などが絡み合って読み応え…

ドラゴン・ヴォランの部屋

J・S・レ・ファニュ/著 千葉康樹/訳 創元推理文庫 <収録作品> 『ロバート・アーダ卿の運命』『ティローン州のある名家の物語』 『ウルトー・ド・レイシー』『ローラ・シルヴァー・ベル』 『ドラゴン・ヴォランの部屋』 『吸血鬼カーミラ』著者の短編集。 …

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

ケン・リュウ/編 中原尚哉/他訳 早川書房 <収録作品> 『鼠年』『麗江の魚』『沙嘴の花』『引き裂かれた世代:移行期の文化における中国SF』陳楸帆/著 『百鬼夜行街』『童童の夏』『龍馬夜行』『中国SFを中国たらしめているものは何か?』夏笳/著 『沈黙都市…

母の記憶に

ケン・リュウ/著 古沢嘉通ほか訳 早川書房 <収録作品> 『烏蘇里羆』『草を結びて環を銜えん』『重荷は常に汝とともに』 『母の記憶に』『存在』『シミュラクラ』 『レギュラー』『ループのなかで』『状態変化』 『パーフェクト マッチ』『カサンドラ』『残…

ノクターナル・アニマルズ

オースティン・ライト/著 吉野美恵子/訳 ハヤカワ文庫NV 小説の中に小説ありの入れ子的構造だが スーザンに元夫のエドワードが なぜ小説を送ったのかの意図は結局よくわからなかった。

愛しき者はすべて去りゆく

デニス・レヘイン/著 鎌田三平/訳 角川文庫 幼女誘拐事件、といやな事件であるが それを解決するために人がどんどん死亡。 しかも解決しなくても良かったのではという感想を 持ちそうになるくらいの後味悪い結末だった。 アメリカって子どもの人権うるさそう…

謝ったって許さない

ソフィー・リトルフィールド/著 嵯峨静江/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 普通に主人公犯罪行為しすぎなのだが 犯行動機が動機なためか見逃されているのか。 コージーミステリ風な設定なのだけど やっている内容はハードボイルドで結構痛そうな描写が多い。

大草原の小さな家 ―インガルス一家の物語〈2〉

ローラ・インガルス・ワイルダー/著 恩地三保子/訳 福音館書店 途中冗長な感じでだるくはなるのだが、 開拓民生活の記録として読んでみても面白い。 父さんが丸太小屋をほぼ一人で完成させたり、 母さんが野外で家事するところのたくましさがすごい。 政府の…

大きな森の小さな家 ―インガルス一家の物語〈1〉

ローラ・インガルス・ワイルダー/著 恩地三保子/訳 福音館書店 アメリカ開拓時代の著者少女時代の物語。 実際はかなり過酷な環境だし ほぼ自給自足な生活で大変そうだけど、 大変そうに書かれてないところがよい。 食べ物が素朴なのに美味しそう。

おっぱいとトラクター

マリーナ・レヴィツカ/著 青木純子/訳 集英社文庫 タイトルが直接すぎ! 確かにそのとおりなのだけど。 登場人物たちが好き放題しすぎで 大丈夫と思いきや、最後は収束された。 全体的にはコメディなのだが、 周囲の国に翻弄されたウクライナ人の 苦闘の歴史…

天国でまた会おう (上) (下)

ピエール・ルメートル/著 平岡敦/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 NV文庫で発行でいいのかな、と思うのだが 今後新刊が発行される可能性があるからこっちのレーベルなのか。 大規模な詐欺事件はあるが、 それよりも各登場人物たちの心境描写の展開が 面白かった。…

ミスティック・リバー

デニス・ルヘイン/著 加賀山卓朗/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 ミステリとしての「謎」はあまりないが、 心に傷を持つ三人のドラマしての話が面白い。

死のドレスを花婿に

ピエール・ルメートル/著 吉田恒雄/訳 文春文庫 この作者らしく第一部、第二部と進むにつれ 話の内容がひっくり返るのが楽しい。 カミーユ警部もののような物理的なグロさはないが 精神的なきつさの方が強かった。

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (上)(下)

ダヴィド・ラーゲルクランツ/著 ヘレンハルメ美穂、羽根由/訳 早川書房 もともとの作者が亡くなっていて 4から別の作者へバトンタッチしてシリーズ継続。 リスペッドが子どもと関わる話なためか 新たな敵のためなのかいろいろパワーアップしている。

傷だらけのカミーユ

ピエール・ルメートル/著 橘明美/著 文春文庫 シリーズ3作目にして完結らしい。 ということで、容赦なく人気たぶんありそうな シリーズ主要人物が退場してショッキングである。 カミーユよりもアンナの方が傷だらけじゃないか、と 最初は思ったが話が進むに…

その女アレックス

ピエール・ルメートル/著 橘明美/著 文春文庫 シリーズ2作目。 日本ではこちらが先に翻訳されている。 ストーリーはこちらの方が確かにすごい! とは思うが、前作の悲劇が語られすぎているから やはり順序どおりに読んだほうが良いように思う。

悲しみのイレーヌ

ピエール・ルメートル/著 橘明美/訳 文春文庫 たぶん受賞履歴のせいだと思うけど、 シリーズものを2作目から出すのはどうだろう。 幸い、そういう情報を知っていたので シリーズ1作目である本作から読んだ。 タイトルからもう不安感はあって それは予想どお…

三秒間の死角 (上)(下)

アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム/著 ヘレンハルメ美穂/訳 角川文庫 潜入捜査員パウラがどう生き延びるのかに ハラハラするサスペンスもの。 タイトルの意味が最後の最後でわかる。

熊と踊れ(上)(下)

アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリ/著 ヘレンハルメ美穂、羽根由/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 スウェーデンで実際に起こった 銀行強盗事件を元にしたミステリ本。 フィクションだけど、実際の事件を元にしているため ドキュメンタリー的な感…

ハイド

ダニエル・ルヴィーン/著 羽田詩津子/訳 KADOKAWA 『ジキル博士とハイド氏』をもとにして ハイド氏の視点から描く物語。 オリジナルの話をさらに肉付けした内容で 割と説得力ある物語になっている。

生か、死か

マイケル・ロボサム/著 越前敏弥/訳 早川書房 主人公のオーディが優等生すぎな人物なためか、 なぜ刑務所から出所予定の前日に脱獄した理由が 明かされるまで読むのが辛かった。 あと、FBI捜査官のデレジーの身長が低すぎネタがしつこい。

エドガー・ソーテル物語

デイヴィッド・ロブレスキー/著 金原瑞人/訳 NHK出版 700ページ越えの容量も重いが、内容も重い。 しかし、淡々とした語りで読みやすかった。 生まれつき声を出せないエドガーが犬たちと 手話で会話をして交流するところは良かったし、 ソーテル家での犬ブリ…

アメリカ黒人姉妹の一世紀―家族・差別・時代を語る

セラ・ルイーズ・デレイニィ、アニー・エリザベス・デレイニィ、 エイミー・ヒルハース/著 樋口映美/訳 彩流社 1990年代時点、103歳と101歳の姉妹が語るアメリカ史。 父親が子どものころは奴隷で南北戦争後の奴隷解放を経験している。 彼女らがおそらく同世…

第三帝国の愛人――ヒトラーと対峙したアメリカ大使一家

エリック・ラーソン/著 佐久間みかよ/訳 1933年ドイツ駐在となったアメリカ大使一家のノンフィクション。 大使は外交官出身でもなれるとは。 外交官というよりアメリカ南部人からの視点というのが面白い。 娘が奔放すぎ周りから影響受けすぎで、旧ソ連のスパ…

0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる

スティーヴン・レヴィット スティーヴン・ダブナー/著 櫻井祐子/訳 ダイヤモンド社 副題『どんな難問もシンプルに解決できる』だと ハウツー本ぽいが、どちらかというと経済読み物。

紙の動物園

ケン・リュウ/著 古沢嘉通/訳 早川書房 <収録作品> 『紙の動物園』『もののあはれ』『月へ』 『結縄』『太平洋横断海底トンネル小史』『潮汐』 『選抜宇宙種族の本づくり習性』『心智五行』 『どこかまったく別な場所でトナカイの大群が』 『円弧』『波』…

トマス・クイック‐北欧最悪の連続殺人犯になった男

ハンネス・ロースタム/著 田中文/訳 早川書房 30人以上殺害したと自白をした実は嘘だったという スウェーデン最悪の冤罪事件のルポ。読みづらい構成。 セラピーによって偽の記憶が呼び起こされた内容を 実際の事件の自白とされたのがとても危険。