2023-01-01から1年間の記事一覧

月村了衛/著 光文社 野外活動部に所属する中学生と引率する先生たちが合宿先にて殺人も厭わない半グレ集団と戦うことになる。副顧問の先生が身分を偽って潜伏していたテロリストと判明するあたりから形成が一気に変わる。上記設定がB級エンタメぽいが、ダラ…

風配図 WIND ROSE

皆川博子/著 河出書房新社 皆川先生、93歳の著作物。内容がみずみずしいのがもう単純にすごい。12世紀のバルト海になるゴッドランド島に住むヘルガ、アグネといった少女たちが周囲の古い因習や差別などを物ともせず読み書きを覚えたりし商人や通訳を目指す。…

川の光

松浦寿輝/著 中央公論新社 住んでいた川が埋め立てられることになったため新天地を求め冒険の旅へと出るクマネズミ親子の物語。ネズミの冒険ものというとガンバを連想してしまう。街の一部の移動とはいえ、人や犬だと大したことない距離でもネズミだとすごい…

歪んだ窓

山川方夫/著 出版芸術社 ショート・ショートの名手による短編集。純文学系から作家生活スタートしていているためか日常系の話が多め。今読むと時代感強くて古い話も多め。巻末で星新一・都筑道夫と座談会しているが当時30歳くらい?

クララとお日さま

カズオ・イシグロ/著 土屋政雄/訳 早川書房 AI頭脳を持つ人工フレンドのクララの視点での病弱な少女ジョジーとの出会いと別れの物語。ジョジーは向上処置の副作用で病弱みたいだが、処置を受けない子どもは大学進学が困難などなにかと格差がある世界となって…

チェスナットマン

セーアン・スヴァイストロプ/著 高橋恭美子/訳 ハーパーBOOKS デンマーク・ミステリ。ノワールものらしいがサイコものでもある。分厚いけどテンポ良く話が進んでいく。犯人の正体が本人からバラされるまで全く予想できなかったくらい意外。

母になる、石の礫で

倉田タカシ/著 早川書房 3Dプリンタでなんでも生み出せる数百年後の未来。地球外で生活する3Dプリンタで生まれた少年少女の物語。作中の「母」という概念が少し読んでいてこんがらがる。背景世界なども複雑だが、少年少女たちの一種の青春物語というか成長も…

トランク 林芙美子大陸小説集

林芙美子/著 中公文庫 <収録作品>『泉』『運命』『黄鶴』『雨』『幕切れ』『トランク』『漣波』 旅好きな著者らしいテーマの短編集。様々な立場の人物たちが登場するが、本来一生海外へ行く機会がなさそうな少女が奥様付きの小間使いとしてパリで生活する…

帝国の亡霊、そして殺人

ヴァシーム・カーン/著 田村義進/訳 早川書房 地道に増えてきているインドミステリ。インド初の女性刑事が独立直前の1949年12月31日に起こったイギリス人殺人事件を追う。主人公のペルシスが周囲の男性社会の差別や軋轢を受けながらという境遇にあって大変な…

おばちゃんたちのいるところ

松田青子/著 中央公論新社 短編集だが、全体を読むと世界が繋がっている構成。幽霊と人間が絡むが少しも怖くない。1作目は少しジェンダー関係の重苦しさがあるが他はそうでもなく全体に軽妙な感じ。

われはドラキュラ――ジョニー・アルカード 上・下

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ4作目は連作中短編集。時系列は主に1970年代から1990年代前半まで。1作目でのドラキュラのタイトルにあるセリフが本作の最後の方でも宣言される。絶望的? なのかそうでないのか。20世紀の映画とハリウッ…

ユーチューバー

村上龍/著 幻冬舎 コロナ禍にてほぼ客がいないホテルという一種異様な空間の描写は面白い。有名小説家が女性遍歴を語るが著者自身のぽいので自伝風な内容になっている。でもなんだか全体的に物足りない感じ。

持続可能な魂の利用

松田青子/著 中央公論新社 ディストピア? フェミニズム小説。悪意ある「おじさん」たちを打倒しようとする女性たち。結局日本だけではなく、世界中も変革したのだろうか。読んでいてつらいけど、変革したラストで爽快になるかというとそうでもなくて複雑な…

任務の終わり 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 三部作完結編。3作目でミステリというよりもキングらしいホラーサスペンスものに。2作目のラストの嫌な予感が当たってしまった。ゲーム機を使って人を操って自殺させようとするメルセデスキラーことブレイディ。…

《ドラキュラ紀元一九五九》ドラキュラのチャチャチャ

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ3作目。こちらは初読。舞台はイタリアのローマ。ドラキュラがモルダヴィア公女アーサ・ヴァイダと挙式するということで、ヴァンパイアの長生者たちが集結するが彼らを処刑していく深紅の処刑人が出現。そ…

《ドラキュラ紀元一九一八》 鮮血の撃墜王

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ2作目。実は、表題作を前作の再読前に再読してしまっていた。吸血鬼が当たり前に存在する世界にての第一次世界大戦の戦記もの。ドイツのエースパイロットのレッド・バロンが吸血鬼になっていてイギリス軍…

ドラキュラ紀元一八八八

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 東京創元社版を昔読んでたのでアウトラインは覚えていたけど、今回の<完全版>を再読してもワクワクする読後感は変わらなかった。ドラキュラがヴィクトリア女王と結婚していている背景で1888年のロンドンというと…

ファインダーズ・キーパーズ 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 『ミスター・メルセデス』の続編で三部作二作目。キングが挑むミステリものであるが、次作が超現象でそうなラストではある。下巻になるまでシリーズ主人公であるホッジスは登場せず事件の発端とそれに関わる人物…

太陽の帝国

J・G・バラード/著 高橋和久/訳 国書刊行会 太平洋戦争開始から終戦まで上海在住のイギリス人少年が戦争開始後から終戦まで両親と合流できずに捕虜収容所で暮らし奮闘する。著者の回想録でも触れられているが、意外にも主人公は日本軍に悪感情を持っていない…

三体0 球状閃電

劉慈欣/著 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ/訳 早川書房 三体シリーズの前日譚。本書の主人公である陳が少年時両親が目の前で謎の焼死する場面から始まりその原因の「球電」の研究にのめり込んでいくが。表紙の女性は、第二の主人公ともいえる林雲か。シリ…

3回目の足跡 第1巻

三部けい KADOKAWA 1話の冒頭がバッドエンド風だが、それが回避されるのかされないのか。謎の未来を予言する絵葉書や過去で主人公の妻の実家で起こった放火殺人のエピソードなどの謎が提示される。

潮が舞い子が舞い 第10巻

阿部共実 秋田書店 完結。まだ二年生なのに、とは思うのだが三年生だと進路関係ややこしくなるから現状の日常回で終わらせるのは今のうちかも。ラスト2話がエモさ全開な終わり方だった。

メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行

シオドラ・ゴス/著 原島文世/訳 早川書房 三部作の2作目。ヴァン・ヘルシングの名前が出るということはドラキュラ伯爵が出るわけで。錬金術師協会のせいでモンスター娘がまた増えていた。1作目もだが2作目も文中読みづらさがあるが世界観は好きなので読んで…

魔女 上・下

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿10作目。 今のところ邦訳はここまで。またアンナいじめをしてる作者。少女というより幼女殺害事件が起きる。本作では移民問題や未成年の銃事件など現在の魔女狩りといえそう…

人生の奇跡

J・G・バラード/著 柳下毅一郎/訳 東京創元社 亡くなる2年前に書かれた自伝。穏やかな筆致。少年時代の1930年代から1945年までの上海租界および収容所エピソードが印象的。

アウトサイダー 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 不可能犯罪事件の謎がホラーへと展開。忌まわしいの存在のアウトサイダーがキング作品のクリーチャーらしい。上巻の鉄壁のアリバイがあるのに殺人者とされてしまったされた男性がいたたまれないが、下巻で『ミス…

獣使い

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿9作目。エリカが取材していた女性囚人と連続少女誘拐事件が関連。誘拐された少女たちの末路が残虐で悲惨すぎる。また、犯人についても救いがないというか続編で再登場しかね…

悪童

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿3作目。7歳の少女殺人事件と過去の負のサーガが繋がる部分がさすが。作中では犯人の自白はないが、なぜ事件が起こったかの原因がよくわかる。本作のラストがすごい引きだっ…

真夜中の密室

ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/訳 文藝春秋 リンカーン・ライムシリーズ15作目。ロックスミスと名乗る天才錠前師との対決。本作ではZoom会議を頻繁に行なっていて今まであった直接対面の手間が減っている。今回はロックスミスの正体を暴いても事件…

宇宙の春

ケン・リュウ/著 古沢嘉通/訳 早川書房 <収録作品>『宇宙の春』『マクスウェルの悪魔』『ブックセイヴァ』『思いと祈り』『切り取り』『充実した時間』『灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹』『メッセージ』『古生代で老後を過ごしましょう』『歴史を終わらせ…