2021-01-01から1年間の記事一覧

房思琪の初恋の楽園

林奕含/著 泉京鹿/訳 白水社 台湾の「実話を元にした小説である」小説。 タイトルだと爽やか青春物語を連想させられるが 実際は13歳から性的虐待を受けた少女が 粉々に壊されるまでの地獄ストーリーだった。 また、少女と同じマンションに住む新婚の 妻が夫…

帝国という名の記憶 (上)(下)

アーカディ・マーティーン/著 内田昌之/訳 ハヤカワ文庫 SF 架空の宇宙帝国の文化の設定などが 大変凝っている。 主人公であるルスエル国大使のマヒートが結構行動的で 話もテンポよく進む。

仏陀の鏡への道

ドン・ウィンズロウ/著 東江一紀/訳 創元推理文庫 シリーズ二作目。 一作目は出版当時すぐ読んだので 続きを読むのは25年以上ぶり。 主人公のニール自身があまり活躍してなくて 周囲に翻弄されすぎな2作目だった。 そうそう舞台は1970年代だったっけ。

不死鳥少年 アンディ・タケシの東京大空襲

石田衣良/著 毎日新聞出版 昭和20年3月10日の東京大空襲の 描写が壮絶すぎて、助かった人たちが 本当に運が良かったとしか思えない。 話は日本とアメリカの二重国籍をもつ少年が主人公だが なぜか死に戻りする能力がある設定で 家族を助けるストーリーになっ…

ナチス狩り

ハワード・ブラム/著 大久保寛/訳 新潮文庫 タイトルと中身がちょっと違う気がする ノンフィクションもの。 第二次世界大戦時にイギリス軍として参加していた ユダヤ旅団(パレスチナ在住のユダヤ人が所属)の記録。 戦時中部分は活躍少なく、むしろ戦後にな…

探偵は女手ひとつ

深町秋生/著 光文社 山形が舞台で当たり前だけど 山形弁バリバリな連作短編集。 タイトルどおり、元警察官で探偵業をしている シングルマザーが主人公。 今まで読んだ深町作品に比べると すごくハートウォーミングな内容であった。 暴力シーンは結構あるのだ…

娘を呑んだ道

スティーナ・ジャクソン/著 田口俊樹/訳 小学館文庫 スウェーデンミステリはストックホルムより 南が舞台の話が多い感じだが、 本作では北部が舞台。 自然描写が美しいが、登場人物たちは不穏な人物が多い。

子守唄

カーリン・イェルハルドセン/著 木村由利子/訳 創元推理文庫 ショーベリ警視のシリーズ3作目。 当初シリーズ構想が三部作だったらしいので 今まであった伏線めいたものは回収されている。 結構衝撃的な結末を迎えている。 なおシリーズは8作らしいが日本での…

苦悩する男 (上)(下)

ヘニング・マンケル/著 柳沢由実子/訳 創元推理文庫 ヴァランダーシリーズ最終作。 ヴァランダーも60歳になり引退を考える年齢に。 警察署のメンバーが2人以外総入れ替えしていたり、 孫娘が誕生、身近な人の死など 事件の話は別としても総決算的な内容にな…

パレートの誤算

柚月裕子/著 祥伝社 市役所のケースワーカーが主役のミステリ。 主人公が臨時採用で現場へ出るケースワーカー職って 結構ハードな設定ではないかと思った。 話はテンポが良く地についた内容。 でもこの作者なので暴力容赦ない。

オムニバス

誉田哲也/著 光文社 姫川玲子シリーズばかり10編の短編集。 玲子自身の視点の物語ばかりではなく 姫川班の普段は目立たないメンバーから見た 玲子像など面白い。 短編の最終話でサプライズ。 次作? で登場予定の人物が他作品の主人公とは。 誉田ってやはり…

水溜まりに浮かぶ島 第4巻

三部けい 講談社 入れ替わりに妹が気づいた。 他の人たちも薄々疑ってきている。 そしてタイトルコールも突然きたが 意外にもまだまだ続きそう。

赤ん坊は川を流れる

エルスベツ・イーホルム/著 木村由利子/訳 創元推理文庫 デンマークの女性記者が主人公の シリーズ1作目。 女性の日常生活に絡めたミステリもので こういうのはフェミクリミというジャンルものになるらしい。 でも本作の日常生活が結構 ドロドロした複雑さが…

殺す鳥

ジョアンナ・ハインズ/著 神林美和/訳 創元推理文庫 英国ミステリ。 家族問題のサスペンスといったところ? 犯人探しとしては、 一どんでん返しありそうでそのとおりだった。

インヴィジブル・シティ

ジュリア・ダール/著 真崎義博/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 真崎義博の翻訳本を読むのは久しぶり。 ニューヨークは多様化された都市とはいえ その中にあるユダヤ人コミュニティの存在は異質な感じがした。 イディッシュ語を使い、英語が話せない人もいたり 殺…

北海に消えた少女

ローネ・タイルス/著 一花洋介/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 デンマーク・ミステリだが、 舞台はイギリスが中心だった。 デンマーク人からみたイギリスの描写が面白い。 事件の真相については、結末を知ってからだと 途中にヒントがいくらかあるのに気づく。

冬の生贄 (上)(下)

モンス・カッレントフト/著 久山葉子/訳 創元推理文庫 スウェーデン・ミステリ。 モーリン・フォシュ刑事シリーズ1作目。 殺害された男性のモノローグが しょっちゅう入り込んでいて読みづらくなってしまっている。 事件そのものより、モーリン自身とその周…

ゴールデンカムイ 第27巻

野田サトル 集英社 タイトル回収される巻。 いよいよ最終章が近づいてきた。 海賊房太郎が退場するが、 そんなシリアスの直後に 不謹慎気味な笑いがあるのがすごい。

われらの独立を記念し

スミス・ヘンダースン/著 鈴木恵/訳 早川書房 レーガンが大統領就任した1980年代前半、 片田舎に住むソーシャルワーカーの生活を描く。 ソーシャルワーカーのピートは お役所的ではなく、自分の娘が家出した状態でも 困った人々のために奔走する。

樹脂

エーネ・リール/著 枇谷玲子/訳 早川書房 デンマーク作家による物語。 ミステリのカテゴリーで出ているが 様々な要素が入っている。 主人公の少女が 大変な環境内で育っているのだが、不幸そうでないのがポイント。

マルドゥック・アノニマス 5

冲方丁/著 ハヤカワ文庫JA ウフコック救出前と後の話が交差する。 読む間が空くと、登場人物で誰だっけなというのも 出てくるくらい多数登場。 でも増加は実はしていないんだよな。 本作でのバロットの精神的成長がすごく 泣かせられるシーンもしばしば。

サムライの娘

ドミニク・シルヴァン/著 中原毅志/訳 小学館文庫 シリーズ2作目。 タイトルはこんなのだが(原題もそうみたい)、 日本人ではなフランス人の剣道の達人の娘が 被害者になって、主人公たちが謎を追う。 ラストで主人公たちが日本にやってきてお花見を楽しむ。

諸星大二郎 デビュー50周年記念 トリビュート

諸星大二郎 河出書房新社 ページ数の割に値段高いわと 思ったがサイズも雑誌サイズ並に大きかった。 以前出版されたムックの執筆者プラスの執筆陣。 お祝いされる本人が生きているときに トリビュート本出るのってなんか良い。 諸星大二郎先生本人が逆トリビ…

欲望通りにすむ女

ドミニク・シルヴァン/著 中原毅志/訳 小学館文庫 フランスミステリ。 引退した元警視とエキゾチックなアメリカ人と 正反対な二人の女性たちが探偵役をつとめる シリーズ1作目。 作者が日本好きなためかマンガなど 日本のカルチャーを話に絡めている。 とに…

インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー

皆川博子 早川書房 『開かせていただき光栄です』シリーズ完結作。 エドとクラレンスがアメリカへ。 ずいぶん遠くへ来たものだ。 本作は、アシュリーの手記が中心。 アメリカ独立戦争を背景にした歴史ミステリで イギリスが舞台だった過去2作と大分異なり興…

未来人カオス

手塚治虫 講談社手塚治虫文庫全集 以前に読んだような気がする、 というかいろんな宇宙人のエピソードが 別作品にもあった気がする。 作中が1990年代から2000年代にかけてで 現代から見ると文明が発達しすぎですごい違和感がある。

終焉

ハラルト・ギルバース/著 酒寄進一/訳 集英社文庫 シリーズ2作目は入手できず3作目。 ソ連兵侵攻しベルリン陥落。終戦へ。 混乱するベルリンの街の様子が描写される中、 ソ連の脱走兵のギャングとオッペンハイマーが対立する。 出だしのオッペンハイマーがお…

ゲルマニア

ハラルト・ギルバース/著 酒寄進一/訳 集英社文庫 ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。 1944年ベルリンを舞台にし、猟奇殺人事件を追うことになった 元刑事のユダヤ人が主人公という特異な設定。 配偶者がアーリア人なので収容所行きが免れているが 1944年の…

蛇の言葉を話した男

アンドルス・キヴィラフク/著 関口涼子/訳 河出書房新社 エストニアのベストセラー小説。 民話とファンタジーが混じった感じの内容。 ヨーロッパでは珍しく人口の半数が無宗教という 背景を思うと、作品内でのキリスト教と土着宗教、 それにとらわれない主人…

天国旅行

三浦しをん著 新潮社 7作品収録。 すべて「心中」がテーマだと最後に書かれていた。 テーマにストレートな内容もある一方、 話自体はあまりそれを感じさせない話がある。 「心中」は広義的な感じ?