われはドラキュラ――ジョニー・アルカード 上・下

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ4作目は連作中短編集。時系列は主に1970年代から1990年代前半まで。1作目でのドラキュラのタイトルにあるセリフが本作の最後の方でも宣言される。絶望的? なのかそうでないのか。20世紀の映画とハリウッ…

ユーチューバー

村上龍/著 幻冬舎 コロナ禍にてほぼ客がいないホテルという一種異様な空間の描写は面白い。有名小説家が女性遍歴を語るが著者自身のぽいので自伝風な内容になっている。でもなんだか全体的に物足りない感じ。

持続可能な魂の利用

松田青子/著 中央公論新社 ディストピア? フェミニズム小説。悪意ある「おじさん」たちを打倒しようとする女性たち。結局日本だけではなく、世界中も変革したのだろうか。読んでいてつらいけど、変革したラストで爽快になるかというとそうでもなくて複雑な…

任務の終わり 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 三部作完結編。3作目でミステリというよりもキングらしいホラーサスペンスものに。2作目のラストの嫌な予感が当たってしまった。ゲーム機を使って人を操って自殺させようとするメルセデスキラーことブレイディ。…

《ドラキュラ紀元一九五九》ドラキュラのチャチャチャ

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ3作目。こちらは初読。舞台はイタリアのローマ。ドラキュラがモルダヴィア公女アーサ・ヴァイダと挙式するということで、ヴァンパイアの長生者たちが集結するが彼らを処刑していく深紅の処刑人が出現。そ…

《ドラキュラ紀元一九一八》 鮮血の撃墜王

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 シリーズ2作目。実は、表題作を前作の再読前に再読してしまっていた。吸血鬼が当たり前に存在する世界にての第一次世界大戦の戦記もの。ドイツのエースパイロットのレッド・バロンが吸血鬼になっていてイギリス軍…

ドラキュラ紀元一八八八

キム・ニューマン/著 鍛治靖子/訳 書苑新社 東京創元社版を昔読んでたのでアウトラインは覚えていたけど、今回の<完全版>を再読してもワクワクする読後感は変わらなかった。ドラキュラがヴィクトリア女王と結婚していている背景で1888年のロンドンというと…

ファインダーズ・キーパーズ 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 『ミスター・メルセデス』の続編で三部作二作目。キングが挑むミステリものであるが、次作が超現象でそうなラストではある。下巻になるまでシリーズ主人公であるホッジスは登場せず事件の発端とそれに関わる人物…

太陽の帝国

J・G・バラード/著 高橋和久/訳 国書刊行会 太平洋戦争開始から終戦まで上海在住のイギリス人少年が戦争開始後から終戦まで両親と合流できずに捕虜収容所で暮らし奮闘する。著者の回想録でも触れられているが、意外にも主人公は日本軍に悪感情を持っていない…

三体0 球状閃電

劉慈欣/著 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ/訳 早川書房 三体シリーズの前日譚。本書の主人公である陳が少年時両親が目の前で謎の焼死する場面から始まりその原因の「球電」の研究にのめり込んでいくが。表紙の女性は、第二の主人公ともいえる林雲か。シリ…

3回目の足跡 第1巻

三部けい KADOKAWA 1話の冒頭がバッドエンド風だが、それが回避されるのかされないのか。謎の未来を予言する絵葉書や過去で主人公の妻の実家で起こった放火殺人のエピソードなどの謎が提示される。

潮が舞い子が舞い 第10巻

阿部共実 秋田書店 完結。まだ二年生なのに、とは思うのだが三年生だと進路関係ややこしくなるから現状の日常回で終わらせるのは今のうちかも。ラスト2話がエモさ全開な終わり方だった。

メアリ・ジキルと怪物淑女たちの欧州旅行

シオドラ・ゴス/著 原島文世/訳 早川書房 三部作の2作目。ヴァン・ヘルシングの名前が出るということはドラキュラ伯爵が出るわけで。錬金術師協会のせいでモンスター娘がまた増えていた。1作目もだが2作目も文中読みづらさがあるが世界観は好きなので読んで…

魔女 上・下

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿10作目。 今のところ邦訳はここまで。またアンナいじめをしてる作者。少女というより幼女殺害事件が起きる。本作では移民問題や未成年の銃事件など現在の魔女狩りといえそう…

人生の奇跡

J・G・バラード/著 柳下毅一郎/訳 東京創元社 亡くなる2年前に書かれた自伝。穏やかな筆致。少年時代の1930年代から1945年までの上海租界および収容所エピソードが印象的。

アウトサイダー 上・下

スティーヴン・キング/著 白石朗/訳 文藝春秋 不可能犯罪事件の謎がホラーへと展開。忌まわしいの存在のアウトサイダーがキング作品のクリーチャーらしい。上巻の鉄壁のアリバイがあるのに殺人者とされてしまったされた男性がいたたまれないが、下巻で『ミス…

獣使い

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿9作目。エリカが取材していた女性囚人と連続少女誘拐事件が関連。誘拐された少女たちの末路が残虐で悲惨すぎる。また、犯人についても救いがないというか続編で再登場しかね…

悪童

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿3作目。7歳の少女殺人事件と過去の負のサーガが繋がる部分がさすが。作中では犯人の自白はないが、なぜ事件が起こったかの原因がよくわかる。本作のラストがすごい引きだっ…

真夜中の密室

ジェフリー・ディーヴァー/著 池田真紀子/訳 文藝春秋 リンカーン・ライムシリーズ15作目。ロックスミスと名乗る天才錠前師との対決。本作ではZoom会議を頻繁に行なっていて今まであった直接対面の手間が減っている。今回はロックスミスの正体を暴いても事件…

宇宙の春

ケン・リュウ/著 古沢嘉通/訳 早川書房 <収録作品>『宇宙の春』『マクスウェルの悪魔』『ブックセイヴァ』『思いと祈り』『切り取り』『充実した時間』『灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹』『メッセージ』『古生代で老後を過ごしましょう』『歴史を終わらせ…

説教師

カミラ・レックバリ/著 原邦史朗/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿2作目。2作目までの訳が癖強い。エリカとパトリックが前作で恋人同士になったと思いきやエリカが臨月近い妊婦になっていて驚く。また、他シリーズ登場人物たちの形が本作で固まってき…

ボーダレス

誉田哲也/著 光文社 2作目でたびたび語られていた「ドミナン事件」の全貌。複数の出来事が起こって喫茶店ドミナンへの籠城事件へと集約。登場人物の女性たちそれぞれの悩みごとがこの事件をきっかけに新たな進路へと導かれる。

氷姫

カミラ・レックバリ/著 原邦史朗/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿1作目。このシリーズは4作目から読んでしまっていたがやっと1作目から読むことにした。訳者も2作目まで別の人である。1作目のためか、登場人物像がまだ固まっていない。パトリックの仕…

悪の五輪

月村了衛/著 講談社 1964年開催の東京オリンピックの映画の監督に錦田欣明という三流監督にしようと映画好きのヤクザ人見が魑魅魍魎とした政界・芸能界で悪戦苦闘する。錦田は架空の人物ではあるが、政治家や芸能人は実在の人物を取り混ぜている。歴史的に実…

アクトレス

誉田哲也/著 光文社 シリーズもの?前作があったらしく、その事件についての思い出のような描写あり。女性4人が女優殺人事件に関わっていく。登場人物や被害者の女優それぞれの家族とはなんぞや。姫川玲子シリーズやジウシリーズに登場していた捜査一課長の…

ゼロエフ

古川日出男/著 講談社 福島県郡山市出身の著者が福島の被災地を歩き、現地の人々へ取材するノンフィクション。小説と思って手を出したらそうではなくとまどいを感じながら読み始め最後までそんな状態で読了。

死神遊び

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿8作目。様々な辛い過去があってか仕事にやる気がないユスタが、35年前の一家失踪事件に関わると思われる事件をきっかけにクローズアップ。アンナが相変わらず受難続きだった…

オスカー・ワオの短く凄まじい人生

ジュノ・ディアス/著 都甲幸治、久保尚美/訳 新潮社 オスカーの一生よりも、彼の姉・母・祖母などの半生やルーツであるドミニカの歴史などの方に物語が占めている。オスカーはドミニカ系アメリカ人だが、1980年代のオタク(ナード?)で当時の日本人のオタク…

霊の棲む島

カミラ・レックバリ/著 富山クラーソン陽子/訳 集英社文庫 エリカ&パトリック事件簿7作目。前作のラストの女性二人ってエリカと妹のアンナだったとは。しかし著者はどんだけアンナに試練を与えすぎなのだろうか。今回はDV問題がテーマであるが、事件の本筋の…

甦る男

イアン・ランキン/著 延原泰子/訳 早川書房 リーバス警部シリーズ13作目でMWA賞受賞作。上司への反抗的行為にて警察学校の再訓練コースへ放り込まれる。いつかはやりそうだよなあ、と思いきや実は悪徳警官をいぶり出すための潜入捜査だった。シボーンは本作…