2009-01-01から1年間の記事一覧

きみの血を

シオドア・スタージョン/著 山本光伸/訳 ハヤカワNV文庫 一種の吸血鬼物語であるけど、 どちらかというとサイコホラーに近い感じ。 何人もの語り手がとある男について語っているが どんどんその男の印象が変わっていく。 かなりショッキングなシーンについて…

洋梨型の男

ジョージ・R・R・マーティン/著 中村融/訳 河出書房新社 <収録作品> 『モンキー療法』『思い出のメロディー』『子供たちの肖像』 『終業時間』『洋梨型の男』『成立しないヴァリエーション』 奇想コレクションシリーズ最新刊。 ファンタジー、SFで定評ある…

くらやみの速さはどれくらい

エリザベス・ムーン/著 小尾芙佐/訳 早川書房 文庫版も出ております。ネビュラ賞受賞作。 「21世紀版『アルジャーノンに花束を』」と評され」 というコピーありだが、 (ちなみに『アルジャーノン~』の訳者も小尾氏だ) そんなコピーなくてもいい良作。 幼…

野生の叫び声

ジャック・ロンドン/著 大石真/訳 新潮文庫 タイトルは知っている未読古典を読んでみた。 何不自由なく判事の家で飼われていたバックが、 誘拐されて過酷な雪橇犬に成長するが それとともに野生の本能が目覚めてしまう。 人間とのつながりが愛情のみでそれが…

メイク・ア・ウィッシュの大野さん

大野寿子/著 メディアファクトリー 難病の子どもたちの夢を叶える ボランティア<メイク・ア・ウィッシュ>の活動内容が書かれている。 成功例のみの美談だけではなく、失敗したケース、 大野さんの人柄の長所・短所も正直に書かれている所が好感。 大野さん…

聖☆おにいさん 第4巻

中村光 講談社 本の薄さに内心ショック。 確かに出るの早いとは思ったが、ある程度の厚さで読みたいの。 中身は相変わらず笑えて楽しかったのでよし。 ブッダとイエス以外のキャラの濃さがあまりなかったし。

暗黒童話

乙一/著 集英社文庫 作中作『暗黒童話』だけど、痛覚というものが 表現されない物語なためか、 グロ描写があるにもかかわらず全く怖く感じられなかった。

砂漠の惑星

スタニスワフ・レフ/著 飯田規和/訳 ハヤカワSF文庫 これ結構怖かった。 話としては駄目だけど、これはヤバイ場所だと わかったらさっさと逃げるべきだよなあ。 危険とわかっても原因を探す好奇心の強さというのが 人間の性(さが)なのか。

天体の回転について

小林泰三/著 早川書房 <収録作品> 『天体の回転について』『灰色の車輪』『あの日』 『性交体験者』『銀の舟』『三〇〇万』 『盗まれた昨日』『時空争奪』 SF短篇集。ホラーもミステリもあるよ。 難解な展開のものは少なかったので読みやすし。 表紙は、確…

乙嫁語り 第1巻

森薫 エンターブレイン 19世紀中央アジアを舞台にした物語。 20歳と12歳の夫婦となると現代だと引いてしまう 設定だけど、女性が年上というのと 夫婦二人が純な性格なので、実際読むと気にならない。 二人以外の家族の描写もいい。 絵が『エマ』の初期よりも…

閉店時間

ジャック・ケッチャム/著 金子浩/訳 扶桑社ミステリー文庫 <収録作品> 『閉店時間』『ヒッチハイク』 『雑草』『川を渡って』 中篇集で鬼畜ホラー集。 『閉店時間』 バー強盗の鬼畜さよりも、 9.11テロ直後の人々の哀切的感情の細やかな描写の方が強め。 …

リア王 シェイクスピア全集5

シェイクスピア/著 松岡和子/訳 ちくま文庫 リア王が自分の娘たちのことを ちゃんと知っていれば起こらなかった悲劇。 生前に財産分与したとりしても 揉め事が出てしまうというあたりや 王の部下のグロスター伯爵が不倫をした結果の 実子と庶子との問題も 現…

牙王物語

戸川幸夫/著 講談社文庫 ヨーロッパ狼と犬との混血である キバの両方の特性が性格に出ている所が 彼の数奇な生き様にモロに関わるあたりが面白い。 動物を全く擬人化してなく あくまで犬は犬であり台詞などないところがいい。 キバと作者だけ呼んで、出て来…

沼地のある森を抜けて

梨木香歩/著 新潮社 糠床から生物が誕生する秘密は 曾祖父母の故郷の島にあった……? と、糠床が一種の異世界の入り口に なっているという所が和風ぽい? 明らかに異世界側の物語が挿入されている その内容は少し解りづらい。 ファンタジーは理屈が必要ないの…

イリアム

ダン・シモンズ/著 早川書房 古代ギリシャの世界、未来地球の世界、木星のモラヴェック世界 と三つの世界の登場人物らのパートを通し、 それぞれの世界との共通点が、徐々に近づいていく様に興奮した。 古代ギリシャの神々たちの正体が本作で はっきりしてな…

恐竜クライシス

ハリー・アダム・ナイト/著 尾之上浩司/訳 創元推理文庫 『ジュラシック・パーク』よりも前に 発表された恐竜パニックもの。 こっちはある程度隔離された場所ではなく 田舎町なあたりが怖さ度高い。 しかも、恐竜だけでなくライオンや虎まで出てくるのだ。 …

俗物図鑑

筒井康隆/著 新潮文庫 ドタバタ的流れのようでそうでないので 長めだけど読みやすかった。 現代でも通じる社会風刺もバンバン出て、 そのブラックさが笑えた。 かなり気持ち悪い描写が延々と続くけどな。 ふと思ったのは、この小説に出る痰壷って 日本で置か…

ホームメイド 全2巻

谷川史子 集英社 2巻のこるりちゃん登場からを連載当時に読んでいた。 懐かしい。 タイトルどおり家庭がテーマなためか 高校生主役だけど読みやすかったな。

カンタン刑

式貴士/著 光文社文庫 <収録作品> 『カンタン刑』『首吊り三味線』『涸いた子宮』 『ヘッド・ワイフ』『おれの人形』『マイ・アドニス』 『血の海』『アイス・ベイビー』『メニエール蝉』 『塵もつもれば』『鉄輪の舞』『東城線見聞録』 『仕置猫(上村一…

吸血鬼

江戸川乱歩/著 春陽堂文庫 『人間豹』の前作品だった。 この話は、過去作品の重要なネタばれが多めなので 『吸血鬼』以前の話を未読の場合は要注意。 蝋細工ってそんなに精巧なのか……と 感心してしまいそうなくらい、 明智と犯人との化かし合いが繰り返し行…

大奥 第5巻

よしながふみ 白泉社 引き続き綱吉篇。 4巻ちょっと退屈だなーと思ったものだが、 5巻とセットにして読むと面白い! ちゃんと生類憐れみの令や 赤穂浪士の変も出てくるとは。 そして、綱吉と吉宗とのただ一回の邂逅! これで1巻に繋がった。 断然次巻が気にな…

人間豹

江戸川乱歩/著 春陽堂文庫 数年ぶりの再読。 江川蘭子が出てくる以前の箇所はすっかり忘れていた。 レビューの観客が皆ひょっとこ変形顔の仮面を被っている所や 着ぐるみ動物箇所は想像するだけでも笑えるが 忠実に実写するととんでもないことになりそうだな…

ネフィリム 超吸血幻想譚

小林泰三/著 角川書店 吸血鬼と人間との対立に加え、 両者よりも強いストーカーという化物が出て来る。 スプラッタ&アクションの連続。 吸血をしない吸血鬼の名前が受難者と同じ名前の ヨブというのが面白い設定。 タイトルの『ネフィリム』も聖書だしな。 …

緑の影、白い鯨

レイ・ブラッドベリ/著 川本三郎/訳 筑摩書房 ブラッドベリのアイルランド滞在経験がベースとなった物語。 執筆は1992年だが本書の時代は1950年代。 日常世界の中にあるファンタジイ(不思議系)が光る。 タイトルは、アイルランドの土地の緑が影まで緑色な…

半眼訥訥

高村薫/著 文藝春秋 1990年代に書かれたエッセイ。 合田の子供時代が高村薫の幼少時の背景を元にしている等、 作品の裏側を見せる内容もあり。 また、神戸の震災と母の死についてが 1995年以降の作品に多少となり影響されているようだ。

P.S.アイラブユー

谷川史子 集英社 <収録作品> 『P.S.アイラブユー』 『ROOM201』 新刊出てた。 掲載誌の『コーラス』って年齢層高いのかな。 ヒロインの年齢が40歳(『ROOM201』3話目)っていうのは 谷川さん作品で初めて見た。(未読分であるかもだが) 『P.S.アイラブユ…

動物感覚 アニマル・マインドを読み解く

テンプル・グランディン、キャサリン・ジョンソン/著 中尾ゆかり/訳 NHK出版 メイン著者であるテンプル・グランディンが、 自身が自閉症であることを活かして 動物の行動を読み解くという試みをし、その成果をまとめたもの。 ここで書かれていることは説明は…

貧しくても元気だった懐かしの昭和30年代

町田忍/著 扶桑社 昭和建物ネタもの。 昭和30年代そのものじゃないのが多いし、 2002年出版のものなので情報が古い。 建物の写真は良かったが。

月光条例 第6巻

藤田和日郎 小学館 赤ずきん篇完結。 これまでで一番面白かったエピソードかも。 月打されて単純に悪者になってしまう おとぎ話の人物だけでなく、自らの意思というのも 持ったままという人物も出てきた。 話はどんどん面白くなってくるなー。 そして、『月…

ゲゲゲの女房

武良布枝/著 実業之日本社 水木しげるの奥さんの自伝。 この本、来年の連続テレビ小説でドラマ化になるらしいねー。 お見合い、五日後結婚から物語が始まるのか? ってヒロイン29歳スタートになるけどドラマ的にはありなのか? あっさりとした語り口調なのだ…