2009-01-01から1年間の記事一覧

航路 (上)(下)

コニー・ウィリス/著 大森望/訳 ソニー・マガジンズ 上下二段組みと長い長い物語。 NDE(臨死体験)とタイタニックの関連は? となんだか魅惑的な謎を提示しつつ 第二部の急激すぎるラストにはびっくらした。 迷路のような病院内、いつまでも止まらないおし…

ムンクを追え!

エドワード・ドルニック/著 河野純治/訳 光文社 サブタイトルが長かったので下記に記載。 「『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術捜査班の100日」 エドヴァルド・ムンクの作品で最も有名な「叫び」は 今まで1994年と2004年に盗み出されている。 本作は199…

しろくまカフェ いちご味!

ヒガアロハ 小学館 2巻目。て巻数で出さないのかこの本は。 いちご味! というのは事前に知っていたので 予想どおりの表紙だった。いちご色にパンダ! 内容は前巻よりも面白さUPしていた。 話も若干増えている? やっぱり子熊たちが可愛い。大人になると凄く巨…

いずれは死ぬ身

トバイアス・ウルフ他/著 柴田元幸/編訳 河出書房新社 <収録作品> 『ペーパー・ランタン』スチュアート・ダイベッグ 『ジャンキーのクリスマス』ウィリアム・バロウズ 『青いケシ』ジェーン・ガーダム 『冬のはじまる日』ブリース・D'J・パンケーク 『スリ…

作家的時評集 2000-2007

高村薫/著 朝日文庫 各年の「主な出来事一覧」の内容が懐かしい。 そうか、2000年の時は小渕恵三が総理大臣在任中に亡くなったり、 新潟・少女監禁事件やネオ麦茶事件(北九州バスジャック事件)、 世田谷一家四人殺害事件、雪印食中毒事件等あったんだと。 …

ドゥームズデイ・ブック

コニー・ウィリス/著 大森望/訳 早川書房 『犬は勘定に入れません』をはじめとする タイムトラベルものの第一作目。 単行本版で読了。今はSF文庫でも出てます(少女漫画風な表紙)。 本編では21世紀と14世紀の章で構成。 クリスマス前後なのに、どっちも疫病…

双生児

クリストファー・プリースト/著 古沢嘉道/訳 早川書房 第二次大戦中にチャーチルの下で活躍した 元オリンピック選手のJ・L・ソウヤー。 そして良心的兵役拒否者で赤十字社所属の J・L・ソウヤー。 イニシャルまで同じなジャックとジョーの双生児たち それぞ…

新リア王 (上)(下)

高村薫/著 新潮社 青森の福澤家一族を巡る物語の 三部作中二作目。 『晴子情歌』で東大卒業後に漁師になっていた 晴子の息子彰之が出家していた。 彰之が在住している寺に栄が訪ね それぞれが自分の生涯とからめて1980年代の政治・仏教の話を 延々と語り尽く…

限りなき夏

クリストファー・プリースト/著 古沢嘉道/編訳 国書刊行会 <収録作品> 『限りなき夏』『青ざめた逍遥』『逃走』 『リアルタイム・ワールド』『赤道の時』 『火葬』『奇跡の石塚(ケルン)』『ディスチャージ』 短篇といえどもプロットが難解! でも、その…

レディ・ジョーカー (上)(下)

高村薫/著 毎日新聞社 『マークスの山』『照柿』と続く合田刑事シリーズ? 三作目。 単行本版で読了。 ビール会社社長誘拐事件については、 グリコ・森永事件をベースにしたのが明らか。 背景に部落問題や株やら重い事項を組み込み、 犯人側・会社側・警察側…

きんぎょ kingyo

高岡一弥、久留幸子 ピエ・ブックス 金魚ビジュアルブック。 アート本とデザイン本の中間? オールカラーで3800円プラス税はそんなに高くないかも、 とはいえ自分で所持するための決心は、 数年もたっていたくらい気楽ではなかったな。 でも購入して満足。 …

うさぎドロップ 第6巻

宇仁田ゆみ 祥伝社 高校生になってからの第2部2冊目。 中学時代のエピソードも少しあったり。 この巻でいろんな意味で恋愛フラグが壊れたが それに対してのフォローは今後あるのだろうか? 話が変な方向へ行かないことを切に願います。

続 明暗

水村美苗/著 筑摩書房 漱石の絶筆作品『明暗』を完結させた作品。 文章はかなり漱石っぽく旧かな文体で上手。 水村美苗の処女小説作品であるが、漱石作品の 世界を壊さずに綺麗にまとめてある。 以下内容にかなり触れます。

私小説 from left to right

水村美苗/著 新潮文庫 横書き。読みづらかった……。 アメリカ在住で永住権まで持っていても アメリカ人になれきれず、かといって日本にも 自分の居所がなさげ……な不安定な感情を持つ 姉妹が英語まじりの日本語会話で家族の物語を語っている。 ちなみに、水村…

明暗 夏目漱石全集(9)

夏目漱石/著 ちくま文庫 漱石遺作。途中で中断されていて結末が不明のまま。 ・主人公が痔の手術で入院 ・退院後温泉療養の旅へ行き昔の恋人に会う というのは記憶にあったが他は綺麗に忘れていた。 とにかくも心理描写が漱石作品の中で最も細かく、 皆本音…

本格小説 (上)(下)

水村美苗/著 新潮社 現在では廃れている本格小説という手法を 使って書かれている。 本格小説は通俗的だと言われるがスケールが大きい所が 良いよね。 『嵐が丘』をモティーフにしているのは途中で気づくとはいえ、 すごく濃厚な世界に堪能できた。 戦後直後…

ジョゼと虎と魚たち

田辺聖子/著 角川文庫 <収録作品> 『お茶が熱くてのめません』『うすうす知っていた』『恋の棺』 『それだけのこと』『荷造りはもうすませて』『いけどられて』 『ジョゼと虎と魚たち』『男たちはマフィンが嫌い』『雪の降るまで』 田辺聖子の本久々に読了…

海を見る人

小林泰三/著 早川書房 <収録作品> 『時計の中のレンズ』『独裁者の掟』『天国と地獄』 『キャッシュ』『母と子と渦を旋る冒険』 『海を見る人』『門』 ジャンルとしてはハードSF短篇集。 ハードSFとしては読みやすい方だと思う。 ヤスミンというとホラーだ…

寒い国から帰ってきたスパイ

ジョン・ル・カレ/著 宇野利泰/訳 ハヤカワ文庫NV 今さながら初読了。 冷戦時代(1960年代)の東ドイツとイギリスとの 諜報部の闘いを描く。 ベルリンの壁崩壊当時のことは憶えてるとはいえ、 現代からだとソ連だとか、ベルリンの壁だとか もう歴史上のお話…

世紀末サーカス 異形コレクション14

井上雅彦/監修 廣済堂文庫 <収録作品> 『天幕と銀幕の見える場所』芦辺拓 『我は伝説』石田一 『黒い天幕』太田忠司 『夢の中の宴』倉阪鬼一郎 『頭ひとつ』草上仁 『砂の獣』奥田哲也 『たまのり』山下定 『マイサーカス』江坂遊 『暖かなテント』藤田雅…

記憶の食卓

牧野修/著 角川書店 とある名簿に記された人物が次々に 殺害もしくは自殺をしていた。 自らも名簿に記載されていた名簿屋が謎を追うが……。 カバーあらすじでは、 個人情報の漏洩の部分を強調しているが本編では 実際はたいして問題になっていない。 むしろ、…

光の雨

立松和平/著 新潮社 まずは雑誌連載当時、盗作問題で話題になったということで有名か。 一応、本編は書き直しをしたもの。 中は連合赤軍事件をベースにしたもので、 『十六の墓標』『あさま山荘1972』の著作が元。 『<盗作>の文学史』に詳細は書かれている…

狂王の庭

小池真理子/著 角川文庫 妹の婚約者で夫の従弟と恋に落ちた人妻の 恋愛物語。 昭和27年の国分寺に ルートヴィヒ二世に魅せられて全財産をかけて 戦後それほどたってない頃なのに 豪華な西洋庭園を造った過程とその庭の描写が 執拗に何度も出て来る。 物語の…

月光条例 第5巻

藤田和日郎 小学館 月光が違法執行者扱いされ、 正式執行者としてトショイイン(表紙の女の子)が指名されてた。 ということで、またもや新キャラが登場。 ちょっと勢いが出てきた? でも、事件が解決すると事件で破壊されたものも修復されるし、 被害等人間…

スイート・リトル・ベイビー

牧野修/著 角川ホラー文庫 第6回日本ホラー小説大賞佳作。 ちなみにこの時の大賞は岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』。 佳作とはいえ、内容は高レベルだ。 児童虐待とサイコパスと<天使>と呼ばれるモノの存在と 詰め込みぎみな感じもするが、ちゃんと着…

分解された男

アルフレッド・ベスター/著 沼沢洽治/訳 創元SF文庫 いわくテンソル…… ベスター初長編作にして第1回ヒューゴー賞受賞。 23世紀、テレパシーを使える超能力者がいる社会で 完全犯罪を目論むライク(超能力なし)に対し、 彼を犯罪を暴こうとするニューヨーク…

魔障岳 妖怪ハンター

諸星大二郎 講談社 文庫になってない稗田礼二郎こと妖怪ハンターシリーズの本。 しかも長編じゃないか。 21世紀になってから描かれた作品なので 稗田先生が普通に携帯を使っていたり、 御託宣がラップでするとかモロ先生ノリノリ? 稗田先生は傍観者が基本で…

パチ漫三国志 かわかずお作品集 第2巻

かわかずお 洋泉社 これの1巻も気になっているけど店頭では見つからないです。 見つけたら買う予定。 漫画好きなら誰でも知っている話をパロディ化した作品。 すげえ笑える……! 表題作になっている『三国志』なんて 元ネタ漫画の名場面を見ても、こっちのキャ…

マンガ家田中K一がゆく!

田中圭一 角川書店 作者本人はサラリーマン兼漫画家で有名。 その事実と虚実を上手く混ぜ合わせたストーリー漫画。 話を作る際の方法論とかも描かれていて、 過去の作品も計算された手法だったと知って驚き。 そして、本編は下ネタで始まっているのは相変わ…

トロピカル 異形コレクション11

井上雅彦/編 廣済堂文庫 <収録作品> 『願い』島村洋子 『みどりの叫び』奥田哲也 『屍船』倉阪鬼一郎 『緑色の褥』安土萌 『蜜月旅行』北原尚彦 『罪』早見裕司 『マバヤカ』毛利元貞 『赤道の下に罪は』本間祐 『夢を見た』榛原朝人 『オヤジノウミ』田中…