2010-01-01から1年間の記事一覧

蜘蛛の巣のなかへ

トマス・H・クック/著 村松潔/訳 文春文庫 余命幾ばくのない 父親の意外な過去と秘密が明かされることによって、 仲の良くなかった父子の心が歩み寄る。 家族の複雑な問題がこれでもかと詰め込まれている 暗い話であるが、それでもクックの作品としては明る…

大奥 第6巻

よしながふみ 白泉社 綱吉編が終了。まさかのオチに衝撃を受ける。 家宣編。 病弱で短命だったせいでボロが出なかったかもだけど いい人すぎ、でも老けすぎじゃないだろうか。 というよりも、1巻でちょろっと出ていたときとずいぶん印象変わりすぎ。 7巻では…

スペースプローブ

機本伸司/著 早川書房 ラノベぽい表紙はどうか……と思ったら文庫版表紙の方がすごい。 近未来日本が舞台。 宇宙飛行士に選ばれたメンバーとサポートメンバーが 月面着陸というミッションと別の 裏ミッションについて夜な夜なカラオケボックスで相談するが……。…

深沢七郎 ちくま日本文学全集

深沢七郎/著 筑摩書房 <収録作品> 『日本風ポルカ』『シナ風ポルカ』『落語風ポルカ』 『東京のプリンスたち』 『三つのエチュード』より 「南京小僧」「魔法使いのスケルツオ」 『揺れる家』 『庶民列伝』より 「おくま嘘歌」「安芸のやぐも唄」「べえべ…

月光条例 第10巻

藤田和日郎 小学館 桃太郎編完結、アラジン編開始の 間の短篇がいいかも。 花屋さんまでアラジンの世界へ行ってしまったが 攻撃キャラでないのが増えて大丈夫なのかな?

阿呆者

車谷長吉/著 新書館 文学談集。 現代日本批判ものみたいなアオリ文を見かけたが、 いつもの車谷長吉節だよなあ。

創世の島

バーナード・ベケット/著 小野田和子/訳 早川書房 四時間の口頭試験の中にて 21世紀末の世界大戦&疫病後に唯一残った <共和国>と呼ばれる島の歴史が語られる。 主人公の少女が選択したアダム。真の歴史とはなにか? という謎がラストでひっくり返される。 …

高慢と偏見とゾンビ

ジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミス/著 安原和見/訳 二見文庫 良い意味でくだらない本。 シュールなイラストも更に馬鹿馬鹿しさに輪をかけてるよ。 内容はオースティンの『高慢と偏見』にほぼ忠実。 なのだが、ただ違う事はゾンビが英国中にはび…

贋世捨人

車谷長吉/著 新潮社 私小説。大学卒業してからの流転生活を書いたもの。 話の展開は何度も別の作品で書いているので 容易に予測がつくのにもかかわらず、飽きないのである。

四国八十八ヶ所感情巡礼

車谷長吉/著 文藝春秋 全く美化されてない四国八十八ヶ所巡礼日記。 自動車、バスも使わない徒歩のみの巡礼への配慮が少ないらしい ということが具体的に書かれている。 (道が車優先で歩きづらかったり、 道の所々にトイレがほとんどなく喫茶店等店舗に頼ら…

親を殺した子供たち

エリオット・レイトン/著 木村博江/訳 草思社 子どもによる家族殺人が起こる背景を探る研究書。 その大半が、中流家庭ばかり。 どちらかもしくは両方の親が独裁的で 子どもを徹底的に肉体もしくは精神を痛めつけている。 いずれも将来的に殺人は起こると、 …

闇に問いかける男

トマス・H・クック/著 村松潔/訳 文春文庫 少女が公園で殺害された。 容疑者は勾留したが、物的証拠が発見されないため 釈放することに。それまでの時間が残り11時間……。 それまでに真相は明らかになるのか? と、タイムリミット・サスペンスなので 時間が気…

ヒューマンエラーを防ぐ ミスはなくなるか

中田亨/著 化学同人 仕事本。仕事本は一行ずつ読むので時間かかる。 ヒューマンエラーは決してなくならないだろうが、 少しでもミスを減らす事例や例題が本書で出ているので 実際の仕事へ応用するためのヒントになりそう。 ただし、理論的な内容が多めなので…

諸怪志異 第2巻

諸星大二郎 双葉文庫 <収録作品> 『壷中天』『盗娘子』『山都』 『邪仙』『巫蠱』『眼光娘娘』 『狗屠王』『封禅』『篭中児』 『三山図』『天開眼』 五行先生ものと昔の中国舞台の怪奇ものが収録。 怪異話が古代中国の説話風なのがいいよね。

エア

ジェフ・ライマン/著 吉沢嘉道、三角和代/訳 早川書房 「完璧な小説」かなあ? 2020年、山岳国家カルジスタンのキズルダー村の ファッション・エキスパートである中国系女性 チュン・メイが主役。 「エア」という頭にネットをもつみたいな 実験によってメイ…

それではさっそくBuonappetito!

ヤマザキマリ 講談社 イタリア家族2作目。 といっても家族の話は薄めで、 作者の食にまつわる過去話がメインかな。 話のオチに話にまつわるレシピがあり。

モーレツ! イタリア家族

ヤマザキマリ 講談社 イタリア家族シリーズ1作目。 イタリアオバちゃんたちが日本観光する所までは リアルタイムで読んでいたのを思い出した。 日本観光なのに、中国と思い込むイタリアオバちゃんてば……。 家族の写真も載っているのが貴重かも。

白痴群

車谷長吉/著 新潮社 <収録作品> 『白痴群』『狂』『功徳』 『愚か者』『武蔵丸』『一番寒い場所』 自分自身だけでなく他者までも悪意込めた 私小説であるが、文章構成の工夫が面白いなと思うた。

跳躍者の時空

フリッツ・ライバー/著 中村融/編 中村融、浅倉久志、深町眞理子/訳 河出書房新社 <収録作品> 『跳躍者の時空』『猫の創造性』『猫たちの揺りかご』 『キャット・ホテル』『三倍ぶち猫』 『『ハムレット』の四人の亡霊』『骨のダイスを転がそう』 『冬の蠅…

心にナイフをしのばせて

奥野修司/著 文藝春秋 昭和44年に起こった少年殺人事件後の 被害者家族の生活を取材したルポタージュ。 単行本が出版された時点では 犯人である少年Aは出所後有名私立大を卒業し 弁護士になっていた、というのが衝撃であろう。 (この本が出版後、弁護士廃業…

ハナシがうごく! 笑酔亭梅寿謎解噺4

田中啓文/著 集英社 <収録作品> 『二人癖』『仔猫』『兵庫船』 『皿屋敷』『猫の忠信』『鬼あざみ』 『牛の丸薬』『ひとり酒盛』 短篇集といっても、連作ものなので 飛ばしよみすると主人公の環境が変わってしまうので ちゃんと順序ずつ読まないと。 謎解…

虐殺器官

伊藤計劃/著 ハヤカワ文庫JA デビュー作。 911以降の近未来的戦記SFものといっていいのか。 『ハーモニー』よりこっちの方が好みだ。 罪と罰というか人の死に対する哲学的考え方などが。 著者が去年亡くなっているので新作が読めないのは残念。

食卓のない家 戦後ニッポンを読む

円地文子/著 佐高信/解説監修 読売新聞社 連合赤軍の山岳リンチ殺人事件やあさま山荘事件を 彷彿させる事件に加担し逮捕された青年の父親が主役。 事件が起こった後の遺された被害者家族の話は多いが、 一人の人間によって崩壊させられた加害者家族のその後…

東京伝説 溺れる街の怖い話

平山夢明/著 竹書房文庫 実話恐怖怪談集……ということだけど、 話の内容のダブリとか一部創作風な内容もあるのだけど。 霊よりも狂った人間の方が恐ろしいという見本集といっていいかも。

心の砕ける音

トマス・H・クック/著 村松潔/訳 文春文庫 1930年代のメイン州。 性格が異なるが仲のいい兄弟の前に謎めいた女が姿を現す。 それから後、女が消え弟の死体が残った。 兄は女を探し弟の死の真相をつかもうとするが。 クックの過去作品を読めば、構造は似たり…

デス・マーチャント/悪夢の日本連合赤軍

ジョゼフ・ローゼンバーガー/著 伊藤哲/訳 創元推理文庫 デス・マーチャント(死の商人)という ニックネームを持つ殺し屋が主人公のスパイアクション。 タイトルからわかるとおり日本が舞台。 ひたすら銃撃戦等続いて人が死にまくる スパイアクションは自分…

世界最後の日々

山本直樹 イースト・プレス 自選短篇集全三部作中のラスト本。 いやはやエロいわー、って エロがほとんどない『レッド』が特殊なんだよね。 おまけの父娘インタビューって、こっちの方が恥ずかしい気がする。 先に出ている二作は未読だったり。

忌中

車谷長吉/著 文藝春秋 <収録作品> 『古墳の話』『神の花嫁』『「鹽壷の匙」補遺』 『三笠山』『飾磨』『忌中』 どれもが「死」に関わる物語ばかり収録。 私小説、創作小説まぜこぜだがどれも良作。 ただし創作小説ものは後味がとても悪いものばかりだと思…

神への長い道

小松左京/著 角川文庫 <収録作品> 『宇宙鉱山』『飢えた宇宙』『宇宙に嫁ぐ』 『星殺し<スター・キラー>』『再会』『神への長い道』 途方もない未来の宇宙。 宇宙SFは読み難いな。 スケールの大きさについていくのがやっとだった。

狼・さそり・大地の牙

福井惇/著 文藝春秋 副題『「連続企業爆破」35年目の真実』 1974年8月30日東京丸の内で起こった三菱重工爆破事件を 当時取材していた産経新聞記者によるドキュメント。 警察、マスコミ側から見たテロリスト像が浮かび上がる。 新聞記者の執念や大変さはよく…