読書の記録_国内作家や行

宝石泥棒

山田正紀 ハヤカワ文庫JA 主人公ジローは人類に宝石<月>を取り戻すべく 旅へ出るのですが、次々と試練が降り掛かってくる……。 とまあ冒険小説風な話の展開です。 旅する先はインドシナ風、中華風、イスラム風と 情緒あふれかつオリジナル要素もぶち込まれ…

X電車で行こう

山野浩一 ハヤカワ文庫JA <収録作品> 『闇に星々』『雪の降る時間』『消えた街』 『赤い貨物列車』『恐竜』『列車』 『X電車で行こう』 ちょっと不思議系SF系かな。 余韻が残る読後感が楽しめます。 作者の名前、どこかで見た記憶がありましたが 競馬関係…

少年王者 全10巻

山川惣治 角川文庫 今年は戦後の絵物語作家で有名な、 山川惣治生誕100年ということで、 4/3から6/29まで弥生美術館にて展覧会があるため 事前予習という事で読了。 文男は猛獣に食べられてしまえば良かった、というそんな話。 ……ではなく、いろんな事情でア…

波乱へ!!

横尾忠則 文春文庫 横尾忠則自身による、自伝本。 同時に、1960年代~1980代にかけての カルチャーやら周囲の有名人たちのエピソードもあり。 横尾芸術の軌跡がよくわかる面白本。

文豪怪談傑作選 吉屋信子集 生霊

吉屋信子/著 東雅夫/編 ちくま文庫 収録作品17編あり。 少女小説の大家だった著者の、別の面が見える作品集。 怪談と名がついているけれど、 怪異または奇妙な話といった方がいいかも。 作品の大半が昭和20年代のものばかりなので、 戦争に関わる内容ものが…

夢野久作全集 5

夢野久作 ちくま文庫 <収録作品> 『犬神博士』『超人鬚野博士』 どちらもほぼ外見も内面もそっくりな 怪人物が主役の話。 『超人鬚野博士』は少年時代からの身の上話もあるけれど、 メインは物語上の現代の鬚野博士にふりかかった話で。 『犬神博士』は語…

夢野久作全集2

夢野久作 ちくま文庫 <収録作品> 『街頭からみた新東京の裏面』『東京人の堕落時代』 両方とも、 関東大震災から一年後の東京について、 地方人の目から見たルポタージュ。 夢野久作が新聞記者時代のものです。 『街頭からみた新東京の裏面』は、 江戸っ子…

<悪口>という文化

山本幸司 平凡社 内容としては、民俗学系? で、 そのときの時代によって<悪口>の扱い方を 日本のみならず世界各国版について書かれいている。 悪口によって、告発するとかはありそうだけど、 争いごとの裁きの場で、悪口の内容が際立っていると 勝利する…

関東大震災

吉村昭 文春文庫 大正12年9月1日午前11時58分に起こった関東大震災。 当時の資料や証言などをまとめた作品。 こういうの読むと現実世界の恐怖話はフィクションを超える。 地震直後の大火災、デマによる大虐殺(というか、最初に 発言した人は悪質過ぎ。思考…

悪魔の手毬唄

横溝正史 角川文庫 先週、これの映画版がCSで放送されていた。 結末だけでわけわからんだったので、原作を読んでみた。 なんか、犯人は可哀想度というか同情度が 映画版より低かった。あと、登場人物の魅力はあまりない、 というか村社会のおどろおどろしい…

あゝ野麦峠

山本茂実 角川文庫 この本を元にした映画を、中学校で観た記憶がある。 明治時代、製糸工場で働く女工たちの過酷な労働、 悲惨な生活、というのが書かれているのではないか、という 暗いイメージだったが、実際に読了してみて 確かに過酷な生活なのだが、そ…

公園には誰もいない

結城昌治 講談社文庫 昭和40年代の作品なので時代背景は古いけど、 相当クールなハードボイルド小説。 ところで当時の厚化粧メイクって 今のギャルメイクをイメージすればいいのかな?

戦中派復興日記

山田風太郎 小学館 昭和26年、27年の日記。 戦後の日記は専業作家になってからか、 そう詳細に書かれていないので、地味な印象であるが、 この巻は啓子夫人との結婚前夜的な内容。 気になるのが、小学館はこの日記を全て実名のままで出してるの? 啓子夫人お…

女王蜂

横溝正史 角川文庫 ドラマ版はいずれも未見。 18歳になったばかりの女王の風格さえある 美貌の少女の周囲で起こる連続殺人事件。 まあ、かなり強引な展開だね! 当時だから許されるのかもしれないが、 現代発表だとたたかれそうかも。 例によって金田一の事…

本陣殺人事件

横溝正史 角川文庫 <収録作品> 『本陣殺人事件』『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』 『本陣殺人事件』は金田一耕介初登場の話。 この事件が起こったのが、東京ではなく地方都市だからこそ? ただ気になるのは、この話の語り手Y(横溝)の 全ての謎がとけ…

サブウェイ

山田正紀 ハルキホラー文庫 地下鉄の都市伝説をテーマにしたホラー。 で、舞台は永田町駅で、まだ東京メトロじゃない頃らしい。 通勤の乗り継ぎ駅で永田町を必ず使うので、身近。 ああ、しかし半蔵門線で永田町へ、 という通勤経路を使っていたら、 この小説…

棺の中の悦楽<悽愴篇>-山田風太郎ミステリー傑作選4

山田風太郎 光文社文庫 <収録作品> 『女死刑囚』『30人の3時間』『新かぐや姫』 『赤い蝋人形』『わが愛しの妻よ』『誰も私を愛さない』 『祭壇』『二人』『棺の中の悦楽』 表題にもなっている『棺の中の悦楽』は長編といってもいい内容。 全て現代もので…

機械・春は馬車に乗って

横光利一 新潮文庫 <収録作品> 『御身』『ナポレオンと田虫』『春は馬車に乗って』 『時間』『機械』『比叡』 『厨房日記』『睡蓮』『罌粟の中』 『微笑』 中学だかの国語の教科書に『蠅』が掲載されていたときは、 それ程感心もしなかったが、本作収録の…

八つ墓村

横溝正史 角川文庫 映像化したものは何度か観たことあったけど、 原作を読むのは初めて。 辰弥視点から、この話は語られているので何か新鮮だった。 都会育ちの青年の視点から田舎の迷信めいた世界を 書いているので、より『日本残酷物語』の世界みたくなっ…

二つの祖国

全3巻 山崎豊子 新潮文庫 分厚く全三冊。 本当は全部読むつもりじゃなかったのに、 気になって気になって、結局二日がかりで読了。 なのに、結末がまたそれなのさ……。 ところで何で主人公ケニーは、 なぜエミーと結婚したのかわからないよ。 エミーと結婚せ…

女系家族

山崎豊子 新潮文庫 昭和30年代とは思えないような、旧時代然した世界の話。 大阪の大商家の三姉妹が、遺産相続で陰湿な争いを して、それのおこぼれを預かろうと周りの人間が関わって、 どろどろしすぎ。読んでいて不愉快になっていく。 亡くなった三姉妹の…

華麗なる一族

上・中・下 山崎豊子 新潮文庫 山崎豊子本初読了作品。 かなり時間がかかったよ。 世間的には最も有名な『白い巨塔』は全5巻もあるらしい。 タイトル通り、関西の企業家一族の物語で、 特に不透明な銀行が舞台になっている。 善人がどんどん悪人につぶされて…

戦中派動乱日記

山田風太郎 小学館 昭和24年から25年までの日記。 医大生(+インターン)兼業作家の頃で、 小説を書く方に力を入れているためか、 覚え書き的な内容になっている。 なので、日記として面白いのは作家になるまでの、 『戦中派虫けら日記』『戦中派不戦日記』 …

真実一路

山本有三 新潮文庫 対象年齢がわかりません。主な登場人物の行く末と、ひらがな多用の文章とのギャップが大きいです。 ■主な登場人物と彼らに関わる物語の流れはこんな感じ ・父 会計課長。喘息で途中で死亡。 ・母 父の勤務先の社長の娘。 父とは離婚してカ…