読書の記録_国外作家さ行

いちばんここに似合う人

ミランダ・ジュライ/著 岸本佐知子/訳 新潮社 <収録作品> 『共同パティオ』『水泳チーム』『マジェスティ』 『階段の男』『妹』『その人』『ロマンスだった』 『何も必要としない何か』『わたしはドアにキスをする』『ラム・キエンの男の子』 『2003年のメ…

パニックの手―ジョナサン・キャロル短編集1

ジョナサン・キャロル/著 浅羽莢子/訳 東京創元社 <収録作品> 『フィドルヘッド氏』『おやおや町』『秋物コレクション』 『友の最良の人間』『細部の悲しさ』『手を振る時を』 『ジェーン・フォンダの部屋』『君を過ぎて十五分』『ぼくのズーンデル』 『去…

心の視力―脳神経科医と失われた知覚の世界

オリヴァー・サックス/著 大田直子/訳 早川書房 「視覚」に関する脳医学の話。 今回は、患者の物語だけではなく サックス自身の病気の話(目に癌ができたことや相貌失認症)のことも 触れられていて歳を感じさせられた。

最初の刑事 ウィッチャー警部とロード・ヒル・ハウス殺人事件

ケイト・サマースケイル/著 日暮雅通/訳 早川書房 小説形式をとっているが、内容は ヴィクトリア朝に実際に起こった中流家庭での殺人事件についての ノンフィクション。ディケンズやコリンズにも影響を与えたくらい有名な事件らしい。 当時の事件に対する警…

何が彼を殺人者にしたのか

マイケル・ストーン博士/著 浦谷計子/訳 イースト・プレス 本文で「邪悪」という単語が多すぎると思ったら、 英語のタイトルの一部にあるからか。 著者がアメリカの精神鑑定医で、割と有名な犯罪事件も鑑定しているらしく 本文でいろいろ書いてあるが内容は…

グラーグ57 (上)(下)

トム・ロブ・スミス/著 田口俊樹/訳 新潮文庫 ジェットコースター展開でめまぐるしい。 何しろ裏切りとか逆転が続きすぎるのでお気に入りの登場など 作らない方がいいと思う。次作もあるので主人公は死なないのは わかっているけれど、他は突然死亡しても驚…

聖書男

A・J・ジェイコブズ/著 阪田由美子/訳 阪急コミュニケーションズ タイトルは「バイブルマン」と読む。 サブタイトル「現代NYで 「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記」の とおりの体験ルポ本。 著者はユダヤ人なので、旧約聖書の内容がメインになって…

チャイルド44 (上)(下)

トム・ロブ・スミス/著 田口俊樹/訳 新潮文庫 ミステリ的には意外な犯人が……というあたりが 無茶すんな、という内容なのであるが 物語的には凄い内容。おそロシアというか世にも恐ろしい旧ソ連の歴史。 1950年代旧ソ連の恐怖政治もさることながら 1930年代初…

13番目の物語(上)(下)

ダイアン・セッターフィールド/著 鈴木彩織/訳 NHK出版 ミステリ要素もあるが、トリックとしてはアレなので 謎解きを意識して読むのはおすすめできない。 物語としては最高なので、話の流れに身を委ねる感じだと かなり話の中に入り込めるよ。 「双子」が物…

青空のむこう

アレックス・シアラー/著 金原瑞人/訳 求龍堂 大人も読めるYA小説。 素直にいい話だなー、と思う物語。 生者と死者との間でのやり残したことを 達成したところが泣ける。

丘の屋敷

シャーリイ・ジャクスン/著 渡辺庸子/訳 創元推理文庫 スティーブン・キングの『シャイニング』にも 影響を与えたという、いわくつき屋敷にまつわる恐怖物語。 『たたり』というタイトルで映画化された。 派手な演出がないのだが、厭な空気感が少しずつ増殖…

ずっとお城で暮らしてる

"WE HAVE ALWAYS LIVED IN THE CASTLE" by Shirley Jackson(1962) シャーリィ・ジャクスン/著 市川泉/訳 創元推理文庫 創元推理文庫のファンタジー・ホラーシリーズは 書店にあまりないので探すのに苦労した。 まず、タイトルが素敵。 とても閉鎖的で旧家が…

刑務所図書館の人びと ハーバードを出て司書になった男の日記

アヴィ・スタインバーグ/著 金原瑞人、野沢佳織/訳 柏書房 日記ではないけれど、 タイトルどおりハーバード大学を卒業したけれど 就職が上手く行かずボストン刑務所図書館に就職したユダヤ人青年の体験記。 個性的な囚人たちと新米司書で見かけも大学生ぽい…

人間以上

シオドア・スタージョン/著 矢野徹/訳 早川書房 超能力者たちが ホモ・ゲシュタルト(集団有機体としての人間)によって 「人間以上」の存在となるストーリー。 その思想や登場人物の一部(特に天才赤ちゃんの設定)が 『サイボーグ009』に多くの影響を与え…

裁くのは俺だ

ミッキー・スピレイン/著 中田耕治/訳 ハヤカワミステリ文庫 当時の評価としては、 暴力的性的で低俗であるとされていたよう。 でも現代から見ると古典。 本作よりももっと低俗なのはもっとある。 翻訳のせいか、下品な感じもそれほどしなかった。

ボートの三人男

ジェローム・K.ジェローム/著 丸谷才一/訳 中公文庫 コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』の下敷きとなった イギリス古典ユーモア小説。 このユーモアというかナンセンスさのセンスがよろしい。 ドタバタもの元祖という気もするが、 上品なドタバタな流…

レッドデータの行方 消えゆく生物を守れるか

ビバリー・ピータースン=スターンズ、スティーブン・C・スターンズ/著 大西央士/訳 ニュートンプレス 絶滅危惧種生物の現状(※出版当時)レポートを 12章にまとめたもの。絶滅してしまった生物の話もあり。 ここで取り上げられた生物たちは現在どうなってい…

オリュンポス (上)(下)

ダン・シモンズ/著 酒井昭伸/訳 早川書房 『イリアム』の続編。 前作よりもスケール大きく口あんぐりするわ。 三つの世界の場面転換が目まぐるしいけど、 危険の連続がなかなか解決しない (特に地球での人間大量殺戮の危機の辺り) のが少しいらついた。 一…

きみの血を

シオドア・スタージョン/著 山本光伸/訳 ハヤカワNV文庫 一種の吸血鬼物語であるけど、 どちらかというとサイコホラーに近い感じ。 何人もの語り手がとある男について語っているが どんどんその男の印象が変わっていく。 かなりショッキングなシーンについて…

リア王 シェイクスピア全集5

シェイクスピア/著 松岡和子/訳 ちくま文庫 リア王が自分の娘たちのことを ちゃんと知っていれば起こらなかった悲劇。 生前に財産分与したとりしても 揉め事が出てしまうというあたりや 王の部下のグロスター伯爵が不倫をした結果の 実子と庶子との問題も 現…

イリアム

ダン・シモンズ/著 早川書房 古代ギリシャの世界、未来地球の世界、木星のモラヴェック世界 と三つの世界の登場人物らのパートを通し、 それぞれの世界との共通点が、徐々に近づいていく様に興奮した。 古代ギリシャの神々たちの正体が本作で はっきりしてな…

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ

シオドア・スタージョン/著 若島正/編 若島正、小鷹信光、霜島義明、宮脇孝雄/訳 河出書房新社 <収録作品> 『帰り道』『午砲』『必要』 『解除反応』『火星人と脳なし』『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』 奇想コレクションでは、スタージョンだけ3冊…

海を失った男

シオドア・スタージョン/著 若島正/編 若島正・今本渉・大森望・霜島義明・吉村満美子/訳 晶文社 <収録作品> 『ミュージック』『ビアンカの手』『成熟』 『シジジイじゃない』『三の法則』『そして私のおそれはつのる』 『墓読み』『海を失った男』 わかり…

夜の子供たち (上)(下)

ダン・シモンズ/著 布施由紀子/訳 角川文庫 奇想コレクション『夜更けのエントロピー』収録の 『ドラキュラの子供たち』を長編化したのが本作品。 プロローグ的な第六章部分までが『ドラキュラの子供たち』と ほぼ同内容で、第六章目の最後が異なっているこ…

不思議のひと触れ

シオドア・スタージョン/著 大森望・白石朗/訳 河出書房新社 <収録作品> 『高額保険』『もうひとりのシーリア』『影よ、影よ、影の国』 『裏庭の神様』『不思議のひと触れ』『ぶわん・ぱっ!』 『タンディの物語』『閉所愛好家』『雷と薔薇』 『孤独の円盤…

ハイペリオンの没落

ダン・シモンズ/著 酒井昭伸/訳 早川書房 『ハイペリオン』の続編。 とっくに読了済みでUPした気がしたのにしてなかった! さあ、いよいよ本題に入って巡礼たちの物語以外に 突如宇宙戦争が起こって並列して書かれていく。 しかも、巡礼たちの時間枠があちこ…

エンディミオンの覚醒

ダン・シモンズ/著 酒井昭伸/訳 早川書房 ハイペリオン四部作全読了! 長い長い話だったのにもかかわらず、 続きが気になってサクサク読めました。 まずは漫画版で読んでみたいなー。 そのうちハリウッドにて映画化しそうだけど、 設定的に、32世紀で地球外の…

エンディミオン

ダン・シモンズ/著 酒井昭伸/訳 早川書房 ハイペリオン第三作目。 『ハイペリオンの没落』から270数年後の32世紀。 連邦が崩壊し、カトリック教会パクスの神権政治が 政権を持っている。 物語は、本作主人公のロール・エンディミオンの 死刑執行決定のシーン…

輝く断片

シオドア・スタージョン/著 大森望/編 河出書房新社 <収録作品> 『取り替え子』『ミドリザルとの情事』『旅する巌』 『君微笑めば』『ニュースの時間です』『マエストロを殺せ』 『ルウェリンの犯罪』『輝く断片』 最近お気に入りの奇想コレクションよりで…

ハイペリオン

ダン・シモンズ/著 酒井昭伸/訳 早川書房 本編517ページ二段組み。文庫版だと二巻分にまとめられている ハイペリオン四部作の第一作目。 分厚いよ! 28世紀、人類は宇宙へ進出し、二百にのぼる惑星を 転移網で結び連邦を形成していた。 その辺境に位置する惑…